伝統芸能、次世代へ 鎌倉市初企画 小中学生向け能楽体験

 鎌倉市は本年度から、小中学生が能楽を本格的に学ぶ事業を始める。能楽師が半年間にわたり、所作などを直接、指導。その集大成として、子どもたちが市内唯一の能舞台に立ち、妖怪退治がテーマの作品を披露する。市は18日まで、古都ならではの事業の参加者を募っている。

 能楽に本格的に触れる機会を設けることで、伝統芸能を次世代に継承するとともに、将来の担い手につながることを期待し、市が初めて企画した。

 体験事業では、観世流能楽師の中森貫太さんらが礼儀作法や所作から、能の舞いに添える「謡(うたい)」、はやし方が演奏する「囃子(はやし)」などを教え込む。稽古は18日から始まり、計20回ほどを予定。時間は平日の午後6時から2時間程度という。

 来年3月17日には、能楽の振興と普及を目的に1970年に創設された「鎌倉能舞台」(同市長谷3丁目)で、源頼光(らいこう)がクモの妖怪を退治する、見た目にも華やかな物語「土蜘蛛(つちぐも)」を披露する。能装束や能面も、鎌倉能舞台で実際に使用しているものを使うという。

 市文化人権課は「参加した子どもたちから、将来の能楽師が誕生してくれたらうれしい」と話し、多くの参加を呼び掛けている。

 市内に在住、在学する小学4年生から中学3年生までが対象。参加費は能装束のクリーニング代など1万円で、白い足袋を持参する。18日の初回の稽古の見学も可能。申し込み・問い合わせは同課電話0467(61)3872。

子どもたちが来年3月に披露する「土蜘蛛」(鎌倉市提供)

© 株式会社神奈川新聞社