マリエンから世界へ ビーチバレー坂口佳穂選手 「注目集める競技に」初の大学日本代表

 「初めて日の丸を付けてプレーする大会。表彰台を目指して頑張りたい」。川崎市川崎区東扇島の川崎マリエンを練習拠点に活躍するビーチバレーボールの坂口佳穂選手(22)=マイナビ所属=が9日からドイツで開幕する「世界大学選手権」に日本代表として出場する。2020年の東京五輪を見据えるヒロインは屈託のない笑顔に闘志をのぞかせた。

 照り付けるような日差しを受けながら、砂が敷かれたコートに何度も、何度も飛び込んだ。今春、武蔵野大を卒業したホープは1日約6時間に及ぶ練習を自身に課している。「きついけど勝ちたいのでやるしかない」。地道に続けてきた努力が、花を咲かせようとしている。

 宮崎県出身の坂口選手。6歳からバレーボールに親しみ、中学3年まで9年間プレーした。しかし、都内に移り住んだ高校時代はダンス部に所属していたという。

 転機は突然訪れた。高校3年の秋、川崎マリエンで観戦したビーチバレーに心を奪われたのだ。「インドアと違って開放的だし、楽しそうで格好いい」。14年春、同大への進学とともに、川崎ビーチスポーツクラブの一員に。自宅のある都内から片道2時間かけて、川崎マリエンに通った。大学2年からは川崎市内で1人暮らしをはじめ、ビーチバレーに打ち込み続けた。

 「キャンパスライフ? 全然ないですよ。高校でプレーしていなかった時間を取り戻したかった」。運動能力の高さに期待した周囲がスポンサーの提供などでバックアップし、こうした支えもあって実力を着実に付けてきた。

 持ち前の瞬発力や持久力を礎に、サーブの精度が向上するなど技術面の進歩が著しい。コートを離れても対戦相手を研究したり、睡眠時間や食事に気を配ったりと余念がない。社会人となり、自身と向き合う時間が増えたことで、より課題を直視して成長につなげているという。

 173センチの坂口選手は愛くるしい笑顔で、美女アスリートとしても脚光を浴びている。これまでは人気先行のきらいがあったが、ことし2月に「世界大学選手権」の選考会を突破して初の大学ジャパン入り。5月のジャパンツアーで初めて頂点に立つなど、めきめき頭角を現し、人気、実力とも兼ね備えるアスリートに成長を遂げた。

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で奮闘した日本代表にも刺激を受け、自身の姿を重ね合わせる。「日本中が盛り上がっていて、サッカー人気のすごさを感じた。ビーチバレーも少しでも注目してもらえるように盛り上げていきたい」。活躍の舞台を徐々に世界へと広げ、2年後に迫る東京五輪に照準を定める22歳の夢は膨らむばかりだ。

ビーチバレーボールの世界大学選手1への意気込みを語る坂口選手

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