【MLB】球宴初選出の元Gマイコラス、日本で培った投球「初球の71%がストライク」

カージナルスのマイルズ・マイコラス【写真:Getty Images】

圧巻の活躍でオールスター初選出、日本での3年間で何が変わった?

 巨人からカージナルスに移籍したマイルズ・マイコラス投手が、7月17日(日本時間18日)に開催される第89回オールスターゲームに初選出された。ここまで17試合に登板して9勝3敗、防御率2.63という好成績をマーク。109回1/3を投げて75三振を奪った一方、四球がわずか「17」という点も高く評価されている。地元メディアはマイコラスの前半戦の活躍を総括する特集を掲載。日本で3年間を過ごした経験が投球に好影響を与えていることなどに言及した上で、「チーム内でNO1の先発投手」「カージナルスの救世主」「唯一確実な存在」と絶賛している。

 セントルイスの地元メディア「KSDK」電子版は、「マイルズ・マイコラスが今シーズンにどこからともなく現れ、カージナルスを救った」とのタイトルで“逆輸入”右腕を特集した。

 パドレス、レンジャーズで目立った成績を残せなかったマイコラスは、巨人で3年間活躍し、メジャーの舞台に返り咲いた。そして、今季は開幕から大活躍している。その理由について、記事では「マイコラスは投球に対して自身が持つ根本的な考え方を分析し、有能な投球をする術を再度学ばなければならなかった。彼がもし先発として好投したいと思ったなら、マイコラスはストライクを投げなければならなかった。それも、たくさんのストライクをだ」と指摘。さらに、「それこそが、2015年?2017年に彼が日本の読売ジャイアンツでやってのけたことだ」と続けている。テンポよく、積極的にストライクを投げ込む。今季はまさにこの投球スタイルで結果を出している。

「マイコラスの貢献はカージナルスにとって救世主」

 投球データを見れば明らかだ。特集では「彼は今シーズンの前半戦における、チーム内でNO1の先発投手である」と絶賛し、その投球内容について紹介。75奪三振に対して17与四球という数字に加え、初球の71%がストライクであるというデータも伝えている。さらに、「スライダーは50%がゴロになり、カーブで打者をフリーズさせる」という。初球からストライクを投げてカウント有利に投球を組み立て、スライダーで凡退の山を築く。落差のあるカーブはカウント球にも決め球にも使える。日本で培った投球スタイルで、メジャーの猛者も封じ込めている。

 また、故障者や不調の投手が続出している中、「マイコラスの貢献はカージナルスにとって救世主である」とも記事では指摘。そして、前半戦で「唯一確実な存在」だったとも言及している。メジャーにおいて、ローテーションを守り続けること、さらに、どんな状態でも安定してゲームを作り続けることは、先発投手の評価基準として重視されている。マイコラスはまさにチームにとって理想的な先発投手と言える。

「4月9日以降の登板で彼が4失点したのは2回だけである。彼はマウンドで容赦のない男である」

「マイコラスがいなければ、シーズン前半にカージナルスはもっと残念な順位につけていたかもしれない。バド・ノリスとジョーダン・ヒックスとともに、マイコラスはカージナルスの投手陣のパワーの源である」

 特集ではこう絶賛した上で「9年間さまよい続けた後、マイルズ・マイコラスはセントルイスで居場所を見つけた」と締めくくっている。いい意味でサプライズとなった右腕はオールスターの晴れ舞台に立った後も力強く名門カージナルスを牽引してくれそうだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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