ドローン・ロボットで災害対応など推進 センシンロボティクス、労働安全、警備も強化

出村社長はドローンのみでなくロボットの活用も目指す

ドローンソリューション事業を手がけるブイキューブロボティクスは1日付で社名を「株式会社センシンロボティクス」に社名を変更。第三者割当増資などで総額約12億円の調達も行った。今後、ドローンに限らずロボットを活用し、災害対応や労働問題の解決などに努めていく。

センシンロボティクスは2015年10月にテレワーク事業などを手がけるブイキューブの社内ベンチャーとして設立。既に独立した経営となっていたが、今回の資金調達でより独立性を高め、社名も変更することとなった。増資の引受先はEight Roads Ventures Japan、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、Drone Fundの4社。新社名の「センシン」には「先進」「専心」「潜心」の意味があるという。

今後の事業としては(1)設備点検(2)災害対応(3)警備監視―に注力する。橋などインフラをはじめとする設備点検については、高所での点検など危険な作業の安全性確保のほか、労働力不足という課題もある。また、災害対応については危険な中での状況把握と正確な情報伝達、警備は2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え労働力不足の中で監視活動を強めていく必要に迫られている。

災害対応についてはこれまで、仙台市の実証実験に参加。沿岸地域にドローンを飛ばし、避難の呼びかけのアナウンスを行うというもので、アナウンスの担当者は津波の届かないところから声を出し、ドローンを通じて沿岸にいる人たちに呼びかけを行った。これまでのように危険なエリアまで広報車を出したり、津波が来そうな放送設備にいたりする必要がなく、安全に呼びかけることが可能。

同社では「FLIGHT CORE(フライトコア)」と呼ばれるドローン業務自動化プラットフォームを提供する。複数のドローンを安全に自動航行できる地上管制システム、画像など成果物を一元管理する業務実績管理システム、管制システムやGIS(地理情報システム)と接続して情報を取得するデータ連携システムを組み合わせて提供する。8月中の提供を目指す。

また海外展開やドローン以外の国内でもロボット活用によるソリューションも目指す。海外は太陽光発電施設のドローンによる監視などを展開。ロボット活用ではヘルスケアなど新領域での活用も見込んでいる。出村太晋(でむら たいしん)社長は4日に東京都内で行われて記者発表会後にも取材に応じ、「ドローンだけでなくロボットの活用も視野にある」と説明。在宅医療などで利用できるロボット活用を目指す。

また警備や監視については「東京五輪へ向けて市場は大きくなる。これまでは警備員の巡回が必要だったものの無人化を進める。小型ドローンの活用のほか、暗いところの警備で暗視カメラの精度向上などに努める」とした。同社では2020年度に100億円の売り上げを目指すという。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介

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