豪雨、神奈川は紙一重 「どこでも起こり得る」と専門家

 西日本に記録的な豪雨をもたらした活発な雨雲は、神奈川県西部にも一部かかっていた。横浜地方気象台によると、県内11地点のアメダスで降り始め(4日午前0時)からの総雨量が最も多かったのは、山北町の290・0ミリ。その一方で東部には雨雲がほぼ停滞せず、最も少ない三浦市で10・5ミリにとどまるなど、雨量の地域差が鮮明だった。

 気象台によると、山北町の次に総雨量が多かったのは箱根町の208・5ミリ。小田原市121・0ミリ、海老名市87・0ミリが続いた。一方で、藤沢市は19・0ミリと三浦市に次いで少なく、横浜市中区も38・5ミリだった。

 神奈川は、西日本などに停滞した前線による強雨域の端に位置。県の東部や南部は、その影響を紙一重で受けなかった形だ。

 横浜国立大の筆保弘徳准教授(気象学)は「気圧配置や前線の位置が違っていれば、神奈川でも豪雨になっていた可能性がある」と指摘。「今回のような豪雨は西日本特有の現象ではなく、どこでも起こり得る」と警鐘を鳴らす。

 気象庁によると、今回の豪雨では、北海道から沖縄までの119地点で72時間雨量の観測史上最多記録を更新。6月28日~7月8日の総降水量は高知県馬路村の1852・5ミリがトップで、徳島県那賀町、岐阜県郡上市、長野県王滝村などでも千ミリを超えた。

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