厳しい環境で地道に成長 離島勢4校が初戦突破

 部員数の減少、少ない実戦、天候に左右される交通事情…。厳しい環境の中、離島勢は地道に力をつけている。この日登場した5校のうち、上対馬、五島、壱岐、上五島が2回戦に進出。「島の野球の灯(ひ)を消したくない」「島の人に喜んでもらいたい」-。みんなでつかんだ、うれしい“夏”1勝だ。
 選手11人で23年ぶりの初戦突破を果たしたのは上対馬。遠方に住む選手はバスの時間があるため平日は早めに切り上げるなど全体練習は限られ、練習試合も今季は10試合もない。そんな中、4月には念願の打撃マシンが導入され、振り込んだ。適時打を放った豊永は「来年は人数がそろわないかも。次も全て出し切りたい」と意気込んだ。
 五島は開幕1週間前の遠征が台風接近で中止。この日も応援に駆けつけた近隣の五島海陽と実戦を重ね、切磋琢磨(せっさたくま)する。コールド勝ちの好発進に主将の古賀は「島の環境は言い訳にしたくない。自分たちが離島勢で一番と自信を持って、貪欲にやる」と誓った。
 壱岐は1点差に迫られた八回に突き放す強い精神力を披露。指導3年目の皆良田監督の下で質の高いメンタルトレーニングに励んでおり、完投した岡田は「落ち着いていいスタートがきれた。離島というハンディは感じない」と胸を張った。
 上五島も開幕前最後の試合が中止になったが、地域の人たちが経験者を集めて実戦相手になってくれた。主将の佐々田は「いつも時間をつくって練習に来てくれる。感謝を忘れずに、勝って応援に恩返ししたい」と全員の気持ちを代弁した。

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