馬場-東のバッテリー躍動 諫早東

 0-0で迎えた延長十三回、無死一、二塁制のタイブレーク。先攻の諫早東は2点を奪い、その裏の守備に就いた。鹿町工に1点を返され、なお2死満塁のピンチ。ここまで1人で投げてきたエース馬場は、カウント3-0となったところで覚悟を決めた。「歩かせたら同点。仲間を信じよう」。真ん中の直球でストライクを取り、続く5球目。打ち上がった白球が二塁手のグラブに収まると、拳を握り締めて喜んだ。
 選手18人の小所帯チームで、昨夏8強の実力校に立ち向かった。打線が苦戦する中、躍動したのが背番号1。140キロ前後の直球にシンカーやスライダーを織り交ぜ、十二回まで被安打7、無失点の好投を見せた。強い日差しの下で164球を投げたが「勝ちたいという気持ちが強く、疲れは感じなかった」と涼しい顔で振り返った。
 捕手の東とは保育園からの幼なじみで、中学時代にもバッテリーを組んでいた。十三回のピンチでは「自信を持て」と鼓舞され、ミットを目がけて思い切り直球を投げ込んだ。「最後まで球威は衰えていなかった」と東。試合後は笑顔でハイタッチを交わした。
 大会初のタイブレークを制し、坂下監督は「子どもたちの成長に驚いている。粘り強く戦ってくれた」と声を震わせた。エースがチームを代表して決意を述べた。「今の気持ちを忘れずに、次も勝ちにいく」

【1回戦、諫早東─鹿町工】1失点で完投した諫早東のエース馬場(左)と好リードで支えた捕手東=佐世保市総合グラウンド野球場

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