入市裏付ける準備書面提出 被爆体験者差し戻し審 長崎地裁

 被爆者健康手帳交付申請の却下処分取り消しを求める訴訟について最高裁が昨年12月、提訴後に原告が死亡しても引き継ぐことができると初めて判断し、入市被爆した可能性があるとした被爆体験者の上戸滿行さん=提訴後の2011年3月に81歳で死去=の差し戻し審第2回口頭弁論が10日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。原告側は上戸さんの入市被爆を裏付ける準備書面を提出した。
 準備書面などによると、上戸さんは長崎に原爆が投下された当時、国鉄の機関士として長崎駅で働く兄を捜すため、大村付近から爆心地近くへ入ったと生前に供述していた。実際、兄が国鉄に勤めていたことは鉄道建設・運輸施設整備支援機構への調査嘱託で分かったほか、上戸さんが供述していた入市した際の市内の状況が、長崎原爆戦災誌などの客観的資料と一致していたという。
 原告側は、上戸さんの供述を聞き取った弁護士の証人尋問を求めた。次回期日は10月9日。

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