湯気もくもく 地域の顔「いりこ」ゆで上がり

 加工場に塩気を含んだ湯気が立ち込める。佐世保市鹿町町の利江水産。だしやつくだ煮に使われる「いりこ」の生産がピークを迎えていた。
 佐世保市は日本有数の産地。原料は主にカタクチイワシで、巻き網漁船が県北や五島列島近海で水揚げする。
 加工場では、従業員が水揚げしたばかりの魚をせいろに移し、沸騰した海水で5分ほどゆでる。機械で24~30時間乾燥させた後、大きさごとに選別していく。
 ゆでる時間などは、代表の新立幸市さん(58)が長年培った勘が頼りとなる。新立さんは「子どものころから両親が作っていた。身近な存在で地域の顔。守っていきたい」と誇らしく語った。

ゆで上がったばかりのカタクチイワシ。乾燥させた後、いりこができる=佐世保市、利江水産

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