パラジウムの水素吸収速度が金混入で40倍超加速、東大生産研が発見

 東京大学の生産技術研究所の研究グループは、水素吸蔵材料であるパラジウムの表面に金を混ぜることにより、水素の吸収速度が40倍以上促進されることを発見した。水素のエネルギー利用に必要な水素吸蔵材料の高性能化につながる技術として期待されている。今後はパラジウムや金以外のより安価な材料への展開や、水素吸収の促進メカニズムのより詳細な解明を進める。

 同研究グループは、試料表面付近の水素のふるまいを調べることができる「昇温脱離法」と「共鳴核反応法」と呼ばれる手法を用いて、これまで水素吸収を阻害すると考えられていた金が、パラジウム表面から内部への水素の侵入速度を加速させることを明らかにした。

 近年進められている水素のエネルギー利用には、水素吸蔵材料を利用した水素貯蔵や水素純化膜による水素精製が必要となる。パラジウムはその材料として期待されているが、水素のパラジウム表面から内部への侵入過程が遅く、吸収を高速化する工夫が求められていた。

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