豪雨の警報と避難、政府が見直しへ 自治体との連携検討

 「平成最悪」の被害となった西日本豪雨を受け、政府は特別警報や警報発表時の避難のあり方を見直す方針を固めた。自治体が出す避難勧告・指示などといかに連携させるかをあらためて検討し、豪雨時に住民がいち早く行動を起こせるようにする。

 西日本豪雨では、広島や岡山、愛媛など11府県に大雨特別警報が発表された。ただ、降雨の状況に応じて6~8日に段階的に出されたため、発表時点で災害が発生していたり、住民の適切な避難行動に結び付かなかったりしたことが課題に挙げられている。

 愛媛県の中村時広知事は9日、官邸で安倍晋三首相と面会し、同県への特別警報の発表が遅れたと指摘。「避難を徹底するため、精度を向上してほしい」と要望した。

 菅義偉官房長官は12日の会見で「ここ数年、桁外れの豪雨で被害が繰り返し発生している。豪雨の被害リスクを減らすために、どのようなことを行うべきか検討が必要だ」と表明。気象庁が発表する特別警報などと市町村による避難情報の関係について見直す方針を説明した。

 2013年8月に運用が始まった特別警報は、同年10月の東京・伊豆大島の土砂災害では基準に満たなかったとして発表されず、気象庁が批判を浴びた。その後も毎年、大規模な水害が続発し、岩手県や北海道で大きな被害が出た16年の台風10号後に国の避難指針が改定され、「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」に名称変更するなどの改善が図られた。

 災害時の避難に詳しい東京女子大の広瀬弘忠名誉教授は「頻発する深刻な気象災害に、小規模町村では対応できなくなっている。そうした場合の避難対応を市町村任せにせず、都道府県が避難指示を出すことも検討すべきだ」と指摘。一方で、「地震などと違い気象災害は予測が可能で、その精度も高まっている。特別警報の発表方法も含め抜本的な見直しが必要」と強調する。

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