【病院中毒死】保管点滴袋に消毒液か 容疑者自宅など捜索

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年9月に入院患者の男性2人が相次ぎ中毒死した事件で、殺人容疑で逮捕された同院の元看護師久保木愛弓容疑者(31)が、同18日午後から19日朝にかけた夜勤中、2人目に死亡が確認された男性に投与予定の点滴袋に注射器で消毒液を混入させた疑いのあることが12日、捜査関係者への取材で分かった。

 同容疑者は16年9月18日午後3時ごろから4時55分ごろまでの間に、1人目に死亡が確認された男性の体内に消毒液を混入させて殺害したとして逮捕された。この男性は同日午後7時ごろに死亡が確認された。2人目の男性は、この男性と同室に入院しており、同20日午前5時ごろに死亡が確認された。

 捜査関係者によると、同容疑者はこれまでの調べに2人の殺害を認め、2人目の男性の体内と点滴袋からは、消毒液に含まれる殺菌作用の強い界面活性剤の成分が検出された。

 同容疑者は同18日午後3時ごろに出勤し、同5時からの夜勤勤務に就いていた。翌19日朝までの勤務時間中に、4階病棟のナースステーションに保管されていた2人目の男性の点滴袋に消毒液を混入したとみられるという。

 この男性の点滴袋が最後に交換されたのは同19日午後10時ごろで、この点滴袋から界面剤の成分が検出された。この男性にこのとき投与された点滴袋は、同17日午前にナースステーションに運び込まれており、それまでは施錠した場所に保管されていたという。一緒に保管されていた複数の点滴袋からも消毒液の成分が検出され、ゴム栓に注射針で刺したような穴が見つかった。

 神奈川署特別捜査本部は7月12日、横浜市鶴見区の同容疑者の自宅アパートと、県内にある実家を家宅捜索した。

事件の起きた旧大口病院=横浜市神奈川区

© 株式会社神奈川新聞社