さまざまなドラマが生まれてきた高校野球の100回目の夏。長崎、佐世保両球場のスタンドには、保護者やチーム関係者のほかにも、熱心な野球ファンがたくさんいる。球児のプレーを長年見守り続けてきた人、黙々とスコアをつけながら観戦する人-。上位シード校が登場したこの日も、知識が豊富な“野球通”たちの姿があった。
スタンドの日陰に観客が集まる中、県営ビッグNスタジアムのバックネット裏に陣取ったのは、20年近く球場に足を運ぶ長崎市銭座町の近藤正則さん(70)。古里を離れた大阪在住中は甲子園で江川卓や原辰徳らの活躍も見たベテランだ。
第1試合が始まる午前9時半でも汗が噴き出る炎天下。「好きじゃないと、こんな暑いとこで見いきらんよ。球筋もよく分かるしね。指定席よ」と笑顔で首に掛けたタオルを握り締めた。
「やっぱり海星の“サッシー”(酒井圭一)やろう」「佐世保工の香田(勲男)も良かった」。一緒に観戦した同町の林田弘忠さん(74)、同市目覚町の佐藤常雄さん(72)とは本県高校野球の歴史について話が弾む。長崎商-九州文化学園の試合は延長十回までの好ゲーム。両校延べ8人が登板する展開に、林田さんは「やっぱり野球はピッチャー。継投は難しかね」。
「おー打った打った」「回れ、回れ」。佐世保市総合グラウンド野球場で、顔を真っ赤にして球児のプレーに声を上げていたのは、過去にここの球場長を務めた同市御船町の西浦繁行さん(74)。「今だと怒られるけど、球場のフェンスを越えて紙吹雪を投げて応援していた時代もあった。一つの試合に全力で向かう球児の姿がすごいよね」
記念の甲子園切符を懸け、グラウンドとともにスタンドの熱気もさらに増していく。県勢は過去10年3回戦に進めず、計4勝と低迷が続く。西浦さんは「最後まで諦めずにまずは初戦突破を」、近藤さんは「生きているうちに長崎のチームを夏の決勝で見たいね」と期待を込めていた。
“野球通”炎天下なんのその 100回目の夏へ熱視線 球児のプレーに一喜一憂
- Published
- 2018/07/13 10:02 (JST)
- Updated
- 2018/12/10 16:08 (JST)
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