大山街道の歴史を生かした街づくりを探るアクションフォーラムが11日夜、川崎市高津区溝口の大山街道ふるさと館で開かれた。街道周辺の20年後の姿について、都市デザインの専門家や地元企業の経営者らが無電柱化計画、食を通じた活性化策などについて、約60人の参加者と意見を交わした。
市まちづくり局は、本年度から街道沿いに無電柱化のモデル地区を設定し、住民との勉強会が始まるなど最新の動きを紹介。また、現在行われている「街なみ作法」と名付けた、歴史や和の魅力を演出する景観形成の手法を説明した。
横浜国立大大学院都市イノベーション研究院の野原卓准教授は、福島県喜多方市や埼玉県川越市で実施した「蔵のまち」づくり、岩手県洋野町の街路灯整備の社会実験を参考事例として取り上げた。
野原准教授は、地元住民と行政が景観について勉強会を根気強く開き、共通理解に至ることがプロジェクト成功の鍵だと力説。「大山街道の場合は交通量が多いゆえの難しさはあるが、地元の人たちが力を合わせ、街道の裏道も含めて積み重なっている歴史的な地域資源を生かしていこう」と呼び掛けた。
クロストークでは、地元の建築プロデュース会社、イタリア料理店、賃貸マンションの経営者3人と野原准教授が、喜多方市の名物ラーメンを引き合いに、特徴ある食を生かした街づくりの可能性などを議論した。