豪州スーパーカー:第8戦はレッドブル・ホールデンが2戦連続ワンツーで週末完全制覇

 オーストラリア・クイーンズランド州北部の海岸沿いに設定されたストリートコースで開催されたVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー第8戦タウンスビル400は、ホールデンのワークスチームであるレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)が躍進。王者ジェイミー・ウインカップがレース1を制すると、2位に入った2016年王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)がチームメイトを従えレース2で勝利し、RBRAが2戦連続ワン・ツーで週末完全制覇を成し遂げた。

 金曜に今季限りでのレギュラー引退を表明したクレイグ・ラウンズに対し、チーム躍進の原動力となった功労者への意気を感じたチームメイトふたりは、レース1スタートから他を圧倒する気迫でホールデン・コモドアZBをドライブ。

 今季の定位置となりつつあるポールポジションからスタートした選手権のライバル、スコット・マクローリン(シェルVパワー・レーシング/DJRチーム・ペンスキー)のフォード・ファルコンFG-Xを1コーナーで早々に仕留めた王者ウインカップは、その後一度も先頭を明け渡すことなくレースをリードする快走をみせる。

 そのチームメイトであるSVGも、最初のピットストップ作業時間でわずかにDJRチーム・ペンスキーに勝り、RBRAのトリプルエイト・レースエンジニアリングのクルーがSVGのコモドアをフォードのわずか数十センチ前でファストレーンに送り出すことに成功し、ここで勝負あり。

 その後3番手マクローリンは後方から迫るラウンズへ注意を向けざるを得ず、前を追うことは叶わず。

 55周目にこのレース唯一のセーフティカー(SC)が導入され、デブリ除去の作業でギャップが詰まると、今度はラウンズが後方から迫るマクローリンのチームメイト、ファビアン・クルサード(フォード・ファルコンFG-X)のチェックが必要となり、わずかコンマ8差でフィニッシュ。

 ウインカップ、SVG、マクローリンの表彰台に続き、ラウンズが4位を確保して引退発表後最初のレースを入賞ポイント獲得で飾っている。

 続く日曜のレース2はSVGがひさびさのポールから発進すると、その後方ではアクシデントが発生。ニッサン・モータースポーツのシモーナ・デ・シルベストロが、同じくチームメイトであるマイケル・カルーソとターン2で絡み僚友をスピンさせると、このドライビングに対して15秒加算のペナルティが課されることに。

 その混乱をよそに先頭を走るRBRAの2台はマッチレースの様相となるなか、7番手からスタートしていたマクローリンはじりじりとポジションを上げ、終盤には3番手まで浮上。最後のピットストップを終えると、背後からまたしてもラウンズのアタックを受ける展開となるが、なんとかこれをしのぎ切り、連続表彰台を確保してみせた。

 さらにその終盤には、ふたたびカルーソのニッサン・アルティマに災いが降りかかり、ポジションを争っていたアントン・デ・パスカーレ(エレバス・ペンライト・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)とクラッシュしタイヤバリアに激突。これでSCが出動する事態となるが、このパスカーレのドライビングに対し、レースフィニッシュ後に35ポイント剥奪との判断が下されている。

 一方、セカンドスティントでは一時ウインカップにラップリーダーの座を譲っていたSVGだったが、残り27周の時点で再逆転に成功。今度はチームメイトを従えて残りのラップを走破しトップチェッカーをくぐり、RBRAが週末完全制覇の連続ワン・ツー・フィニッシュを達成。4位にはふたたびオートバーン・ラウンズ・レーシングの大ベテランが入り、トリプルエイト・レースエンジニアリングにとって完璧なレースウイークとなった。

 チャンピオンシップは、連続3位表彰台を確保したマクローリンが依然として首位をキープするも、SVGが131ポイント差に縮めて追走。一時レース1では2番手を走行し、最終的に7位、6位を記録したデビッド・レイノルズ(エレバス・ペンライト・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)がランク3位で続いている。

 続くVASC第9戦は、オーストラリア東部に位置する同国第三の都市ブリスベンとゴールドコーストの中間に位置するクイーンズランド・レースウェイを舞台に、イプスウィッチ・スーパースプリント戦が7月20~22日に開催される。

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