松坂大輔が12年ぶり球宴で見せた“流儀” 20年前と変わらず貫くスタイル

中日・松坂大輔【写真:荒川祐史】

オールスターは1勝3敗、防御率11.77も結果関係なしの真っ向勝負

 7月13日のオールスター第1戦、2006年以来12年ぶりにオールスター戦に出場した松坂大輔は、1回を投げ2本塁打を喫するなど自責点5だった。9月に38歳になる松坂の衰えを感じたファンも多いかもしれないが、実は「松坂らしい」登板をした、と見ることもできるのだ。

 松坂大輔のオールスターでの戦績を見ていこう。

〇1999年第1戦(西武ドーム)敗戦投手
3回2被安打1与四球5奪三振、失点2自責点0 
【1回】
1(遊)石井琢(横)三振
2(指)鈴木尚(横)三振
3(右)高橋(巨)中直
【2回】
4(中)松井(巨)左飛
5(二)ローズ(横)三振
6(一)ペタジーニ(ヤ)三振
【3回】
7(左)関川(中)四球
8(捕)古田(ヤ)中前打
9(三)二岡(巨)三振
1(遊)石井琢(横)左犠飛
2(指)鈴木尚(横)中前打
3(右)高橋(巨)投飛

 セの先発は上原浩治。前年のドラフトの目玉が揃って第1戦の先発を務めた。18歳の松坂は2回まで4奪三振、3人ずつで斬って取ったが、3回先頭の関川を歩かせたのを皮切りに失策も絡んで2失点。負け投手になった。対照的に上原は勝ち投手となった。

〇2000年第2戦(グリーンスタジアム神戸)敗戦投手
2回4被安打2与四球0奪三振、失点3自責点3 
【1回】
1(左)坪井(神)右前打
2(三)立浪(中)四球
3(中)新庄(神)遊飛
4(一)ペタジーニ(ヤ)一ゴロ
5(指)山崎(中)右前打
6(右)高橋由(巨)右前打
7(二)木村拓(広)四球
8(捕)谷繁(横)右邪飛
【2回】
9(遊)二岡(巨)三内安
1(左)坪井(神)一ゴロ
2(三)立浪(中)遊直
3(中)新庄(神)中飛

 第2戦に先発したが、1回にいきなり3失点し、敗戦投手となる。この年が日本最後のオールスターとなったイチローは4打数4安打の大活躍だった。

〇2001年第2戦(横浜スタジアム)敗戦投手
1.0回9被安打2与四球0奪三振、失点6自責点6
【3回】
8(捕)谷繁(横)中越二
9(右)真中(ヤ)中前打
1(遊)石井琢(横)右前打
2(二)井端(中)投ゴロ
3(一)ペタジーニ(ヤ)右前打
4(中)松井(巨)中越本
5(三)江藤(巨)左飛
6(左)鈴木尚(横)中前打
7(指)稲葉(ヤ)遊内安
8(捕)谷繁(横)右飛
【4回】
9(右)真中(ヤ)四球
1(遊)石井琢(横)左前打
2(二)井端(中)中前打
3(一)ペタジーニ(ヤ)四球

 先発の近鉄・前川克彦に続く2番手として登板したが、先頭の8番・谷繁から3連打を食らうなど3回に5失点。4回もマウンドに上がったが打者4人に2被安打2与四球で、アウトを取ることなく日本ハムの下柳と交代し、負け投手となった。

 2002、2003年もオールスター戦に選出されたが、故障のため出場を辞退している。

2005年に再び上原と先発で投げ合う

〇2004年第1戦(ナゴヤドーム)勝利投手
2回0被安打1与四球4奪三振、失点0自責点0
【3回】
1(二)今岡(神)三振
2(三)立浪(中)四球
3(中)ローズ(巨)三振
4(右)福留(中)中飛
【4回】
5(左)金本(神)三振
6(指)高橋由(巨)三振
7(一)アリアス(神)捕邪飛

 3年ぶりの球宴のマウンド。先発の近鉄・岩隈久志に続く2番手として3回のマウンドに上がり、立浪に四球を与えたが、他の6人の打者を完璧に抑えて勝ち投手になった。ゲームのMVPにも選ばれた。

○2005年第1戦(インボイスSEIBUドーム)勝敗つかず
2回5被安打2与四球2奪三振、失点2自責点2
【1回】
1(中)赤星(神)遊飛
2(右)金城(横)左中二
3(左)金本(神)四球
4(一)清原(巨)左越打
5(指)前田(広)三飛
6(三)今岡(神)遊ゴロ
【2回】
7(捕)古田(ヤ)四球
8(遊)鳥谷(神)右前打
9(二)藤本(神)右前打
1(中)赤星(神)三邪飛
2(右)金城(横)投内安
3(左)金本(神)三振
4(一)清原(巨)三振

 1999年以来の巨人・上原との先発での投げ合いとなったが、1回には巨人清原にタイムリーを打たれ、2回にも失点した。勝敗はつかなかった。

○2006年第1戦(神宮球場)勝敗つかず
2回2被安打1与四球1奪三振、失点1自責点1
【1回】
1(右)青木(ヤ)右前打
2(中)赤星(神)投ゴロ
3(三)岩村(ヤ)三振
【2回】
4(左)金本(神)四球
5(一)李承ヨプ(巨)右中二
6(指)村田(横)中飛
7(遊)鳥谷(神)三邪飛
8(捕)矢野(神)一邪飛

 MLB移籍前、最後の球宴でも先発。立ち上がり、青木に安打を打たれるが、パの捕手、里崎が盗塁を刺した。しかし、2回に巨人・李承ヨプにタイムリー二塁打を打たれた。

〇2018年第1試合(京セラドーム)勝敗つかず
1回4被安打0与四球1与死球1奪三振、失点5自責点5
【1回】
1(中)秋山(西)右越本
2(右)柳田(ソ)三振
3(指)近藤(日)中前打
4(一)中田(日)死球
5(左)吉田正(オ)中前打
6(二)浅村(西)右飛
7(捕)森(西)右越本
8(三)今江(楽)三ゴロ

 12年ぶりの球宴のマウンドは自責点5。秋山、森と古巣・西武勢に一発を浴びた。1999年には対戦打者はすべて年上だったが、今年の顔ぶれはすべて松坂よりも年下だった。

 オールスターでの通算成績は7試合1勝3敗13回26被安打10与四死球13奪三振、失点19自責点17、防御率11.77。長くエースとして君臨してきた投手としては不名誉な成績だが、松坂は球宴ではデビューから常に速球をストライクゾーンに投げ込んできた。結果ではなく、直球勝負をするのが松坂大輔の流儀なのだ。

 そういう意味では、37歳の松坂は、18歳の初陣のときと同じ気持ちで投げたと言えるだろう。

(Full-Count編集部)

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