「チームのお母さん」―侍ジャパン女子代表の“スター”川端友紀は精神的支柱

侍ジャパン女子代表・川端友紀【写真:石川加奈子】

気がつけばチーム最年長「う~ん、お姉ちゃんの方がいいかな」

 来月22日に開幕する「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表。トライアウトと2度の選考合宿を経て選ばれた20人の中から注目選手を紹介する。第1回は、ヤクルト川端慎吾内野手を兄に持つ川端友紀内野手(29=埼玉アストライア)。

 気が付けば、チーム最年長になっていた。12年から4大会連続の代表入り。平均年齢21歳と大幅に若返ったチームの精神的支柱であり、大黒柱だ。

 プロとして、代表として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランに、橘田恵監督が寄せる信頼は厚い。「打つ、走る、守る、全てにおいて、いるだけで存在感がある。落ち着いていて、どっしりとみんなを見守ってくれている」。指揮官はそう評した後で「こんな言い方をしたら気を悪くするかもしれないけれど、このチームのお母さんです」と付け加えた。

 その言葉を伝え聞いた川端は「お母さんですか? う~ん、お姉ちゃんの方がいいかな」と苦笑い。それでも「頼られていることを誇りに感じて、それを力に変えたいと思っています」と若いチームを引っ張っていく覚悟だ。

 6月29日から新潟県新潟市のHARD OFF ECOスタジアム新潟で行った強化合宿では、出場した5試合全てで「4番」に座った。「チャンスで期待に応えるバッティングを心掛けました」という言葉通り、10打数6安打4打点と勝負強さを発揮した。川端に回せば、何とかしれくれるという雰囲気がチームに生まれている。

川端に憧れる若手選手も「オーラが半端ないです」

「監督のやりたい野球が、新潟合宿で分かってきました。バントや盗塁を組み合わせて、確実に1点ずつ取る。ヒットがなくても点を取る。1点の積み重ねを大事にする野球」と指揮官の意図を明確に理解した。侍ジャパン初の女性監督となった橘田監督が目指す野球を率先して実行していく。

 女子野球界を代表するスター選手。若い選手の中には、川端に憧れ、日本代表を目指した選手も多い。最年少の田端凜々花捕手(17)が「オーラが半端ないです」と言えば、初代表の田中美羽内野手(20)も「憧れの存在で、小さい頃にサインをもらったこともあります」と明かす。

 そんな年下の選手たちとも川端は良好な関係を築いている。「新潟の合宿で壁がなくなりました。若い子たち、普通にいじってきますよ。いい雰囲気です。ただ、緩んでばかりじゃダメなので、やる時はやるスイッチを押さないといけないと思っています」と言う。そのスタンスはまさに“大家族を支えるお母さん”と言えるかもしれない。

 新監督の下で挑む6連覇。「プレッシャーを感じないわけではありませんが、それに打ち勝つことを楽しみたいです」と頼もしい。最大のライバルには、アメリカの名を挙げた。

「(12年の)カナダ大会の予選で負けていますし、(14年の)宮崎大会は際どい試合でした。怖さは常にあるので、油断せずに戦いたいです」

◆川端友紀(かわばた・ゆき)1989年5月12日生まれ。大阪府貝塚市出身。和歌山商高、塩野義製薬ではソフトボール選手だった。2010年から女子プロ野球選手として活躍し、MVP(13年)、首位打者(10、11、13年)など多数のタイトルを獲得している。今回は12、14、16年に続く4度目の代表入り。埼玉アストライア所属。170センチ。右投げ左打ち。

(Full-Count編集部)

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