上対馬高伝統の「舟グロー」 息合わせ競漕

 長崎県対馬市上対馬町の県立上対馬高(相川保彦校長、102人)は15日、同町の大浦湾で、和船競漕(きょうそう)「舟グロー」大会を開いた。生徒たちは息を合わせて櫓(ろ)をこぎ、地域の伝統文化を体感した。
 舟グローの名は「舟くらべ」が由来とされる。七つの櫓が付いた全長約10メートルの和船に、船首で棒を振って気勢を上げる「采切(さいき)り」と、拍子木を打って櫓をこぐタイミングを合わせる「手木(てぎ)」、こぎ手14人の計16人が乗り、スピードを競う。
 同校は、地域の伝統文化を通じて郷土愛を育てようと、毎年大会を開き、今回で20回目。クラス単位でチームをつくり、地元の「舟グロー保存会」(大浦光洋会長)から指導を受けて本番に臨んだ。
 レースはクラス対抗と、保護者・卒業生・職員・地元の中学生対抗があり、計10チームが出場。2隻ずつ出走し、約100メートルの直線コースでタイムを競った。
 クラス対抗の決勝は、1年A組と2年A・B組が対戦。生徒は「ヨイショ、ヨイショ」の掛け声で、懸命に櫓をこいだ。序盤は1年がリードしていたが、2年が中盤から追い上げ、39秒8で優勝した。
 2年A・B組の采切りを担当した小宮沙菜(さな)さん(16)は「みんなで力を合わせて勝ててうれしい。練習の成果が発揮できた」と笑顔で話した。

クラス対抗戦決勝で、息を合わせて和船をこぐ2年A・B組チーム(手前)と、1年A組チーム=対馬市上対馬町、大浦湾

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