お礼の天体観測を満喫 平塚市博物館、寄付で望遠鏡購入

 15年ぶりの火星大接近に合わせて「子どもたちにリアルな火星を見せたい」と、神奈川県平塚市がインターネット上で寄付を呼び掛け購入した天体望遠鏡のお披露目会が14日夜、市博物館(同市浅間町)で開かれた。寄付に対する返礼企画で、寄付者とその家族約90人が参加。時間帯的に火星を見ることはできなかったが、自分たちが購入に一役買った望遠鏡で惑星の観察を楽しんだ。

 披露されたのは米国製で口径35センチの反射屈折式望遠鏡。購入費のおよそ半額に当たる100万円をインターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)で賄い、93人が寄付した。

 同館の澤村泰彦館長は「この望遠鏡で多くの人が星空や自然について思いを深めます」とあいさつ。まだ明るさが残る西空の金星から始めて、雲が出たり消えたりする中で、木星、土星に照準を合わせた。

 肉眼では見えない雲越しにでも惑星を捉えることができ、特に木星は雲の切れ間に入ると衛星も含めてくっきり。市内から参加した篠田民子さん(63)は「木星のしま模様がきれいだった。新しい望遠鏡で見られてうれしい」と話した。以前から同館が所有する口径28センチと14センチの望遠鏡も設置され、見え方の違いも楽しんだ。

 15日には市内在住の寄付者を招待して、プラネタリウムの特別投影(オリジナル番組)も行われた。同館では夏期特別展「火星~赤い惑星のひみつ」(入館無料)を9月9日まで開催中。新規購入を含め4台の望遠鏡による「星を見る会」は、火星が最接近する今月31日をはじめ、8月3、10、17日と9月7日に屋上で実施する(7、8月は午後8時から9時45分まで)。問い合わせは、同館電話0463(33)5111。

澤村館長(左端)の説明を受けながら、購入した望遠鏡で惑星を観察する参加者=平塚市博物館屋上

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