不動の主軸、新戦力、“孤軍奮闘”の投手も…パ各球団、前半戦のMVPは?

西武・秋山翔吾【写真:荒川祐史】

1位から5位までが大混戦のパ・リーグ、首位西武は打線の働きが光る

 3月30日に開幕したプロ野球も、7月11日にオールスター前の戦いを終えた。前半戦は西武が首位で終えたが、5位・ロッテまでわずかに6.5ゲーム差。今季は例年以上に混戦となっている。そんな前半戦、MVP級の働きを見せた選手の活躍ぶりを振り返っていきたい。

◯西武
秋山翔吾外野手
78試合325打数114安打13本塁打49打点 打率.351

 投手陣はリーグワーストのチーム防御率4.30だが、打の力で開幕から首位を走る西武。この状況で前半戦のMVPを選ぶとしたら、やはり両リーグトップのチーム打率.276、同トップのチーム得点数436を誇る打線からになるだろう。

 前半戦リーグトップの23本塁打、70打点をマークした山川穂高内野手をはじめ、浅村栄斗内野手、源田壮亮内野手、外崎修汰内野手などがいるが、MVPを一人あげるとすれば秋山ではないか。不動のトップバッターとして、前半戦はリーグトップの打率.351をマークするなどチームを牽引。好不調の波がある選手が多かった中で、秋山は全ての月で月間打率3割以上を記録した。出塁率もリーグ2位の.430と、チーム得点の436は秋山の出塁が生んだと言っても過言ではないだろう。

◯日本ハム
上沢直之投手
14試合8勝3敗0S 93回1/3 防御率2.22

 日本ハムは二刀流の大谷翔平投手、セットアッパーのクリス・マーティン投手、守護神の増井浩俊投手、正捕手の大野奨太など主力の多くがチームを離れ、下馬評が低かった中で首位・西武と2.5ゲーム差の2位で前半戦を終えた。

 その要因は、リーグナンバー1のチーム防御率3.48を記録する投手陣にある。上沢は、大谷の穴を埋める活躍を見せ、エース格に成長した。特に5月は16日の西武戦、23日のロッテ戦で2試合連続完封勝利。既にシーズン自己最多タイの8勝を挙げており、後半戦は自身初となる2桁勝利、そしてタイトル獲得にも期待がかかる。

ホークス柳田は“いつも通り“の活躍? オリックスは若き右腕が奮闘

◯ソフトバンク
柳田悠岐外野手
76試合291打数101安打20本塁打58打点 打率.347

 投打ともに圧倒的な戦力を誇り、シーズン開幕前には多くの解説者がソフトバンクの優勝を予想した。しかし、いざシーズンが開幕すると、守護神のデニス・サファテ投手、セットアッパーの岩崎翔投手をはじめ、主力に故障者が続出。11日の試合でロッテが敗れたため、なんとか前半戦Bクラスを回避できたが、3位という成績だった。

 故障者が多く思った戦いができなかった中、柳田は前半戦も“いつも通り”の活躍を見せた。打率はリーグ3位の.347、本塁打はリーグ2位の20本塁打、打点はリーグ5位の58打点と、3冠王も夢ではない。さらに盗塁は16盗塁をマークしており、3年ぶりのトリプルスリーも見えている。

◯オリックス
山本由伸投手
35試合4勝1敗1S 35回 防御率1.29

 日本ハムと同様にシーズン前の評価はそこまで高くなかったオリックスだが、39勝37敗4分の3位で前半戦の戦いを終えた。チーム防御率は日本ハムに次いで、リーグ2位の3.55。特に勝ちパターンを務める吉田一将投手、山本由伸投手、守護神・増井浩俊投手の3人は防御率1点台と抜群の安定感を誇った。

 前半戦好調だったオリックスのMVPを挙げるとすれば、高卒2年目の山本ではないだろうか。開幕前は先発ローテーション入りを争っていた山本だったが、シーズンが開幕してからはリリーフに専念。勝ちパターンに組み込まれると、高卒2年目とは思えないほどの強心臓ぶりで、敵チームの打者をねじ伏せていった。26ホールドポイントはリーグトップで、最優秀中継ぎ投手のタイトル、さらには資格が残っている新人王への期待もかかる。

ロッテは5位もポジティブな要素が多い前半戦に、チームMVPは新戦力

◯ロッテ
マイク・ボルシンガー投手
13試合11勝1敗0S 83回1/3 防御率2.16

 2015年、2016年と2年連続でAクラス入りを果たしたロッテだったが、昨季は一転、球団ワーストとなる87敗を喫し最下位に沈んだ。不確定要素が多く、今季も厳しい戦いが予想されていた。しかし、新外国人のボルシンガーの活躍、石川歩投手の復活、荻野貴司外野手の1番固定、中村奨吾内野手、井上晴哉内野手の覚醒、ルーキー・藤岡裕大内野手の遊撃固定などポジティブ要素が多く、リーグ5位ではあるものの、前半戦は40勝38敗2分と勝ち越しに成功した。

 そんな中で、新外国人のボルシンガーの前半戦の働きは、素晴らしかった。オープン戦は制球難に苦しんだが、シーズンが始まってからはしっかりと日本の野球に順応。5月4日の日本ハム戦から自身10連勝中で、6月には月間MVPに選出された。勝利数はリーグトップの11勝をマークしており、9勝を挙げる石川とともに後半戦もチームを引っ張っていく。

◯楽天
岸孝之投手
14試合8勝1敗0S 107回 防御率1.85

 昨季はリーグ優勝した2013年以来となるAクラス入りを果たした楽天だが、今季は投打ともに精彩を欠き、交流戦期間中には梨田昌孝監督が辞任するなど、前半戦は29勝49敗1分の最下位に終わった。

 チームの借金が20ある中、岸は8勝1敗で7つの貯金を作り、まさに孤軍奮闘の働きだった。防御率はリーグトップの1.85をマークし、投球回数もリーグトップの107イニング。先発の指標の一つとされるクオリティ・スタート(QS、6回以上を投げて自責3以内)も14試合中12試合でクリアした。チームは苦しい状況が続くが、岸、則本の両エースで白星を積み重ね、巻き返しを図りたい。

(Full-Count編集部)

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