ロシアに来て一番の驚きは、ロシア人たちの優しさだ。入国初日、モスクワのメトロで重たいスーツケースを片手に階段を登ろうとしたら、屈強なロシア人男性が手伝ってくれた。別の日に、駅の電光掲示板を見上げていたら英語で「Can I help you?」と気さくなロシア人女性が声をかけてくれた。
特に開催スタジアムの近辺にいるボランティアスタッフのフレンドリーさは目を引く。巨大な「指差し」手袋を片手に道行く観客とハイタッチを繰り返す姿は、さながらアミューズメントパークのスタッフのようだ。
古くは共産主義国家で、西側諸国と長きにわたって冷戦状態だったこともあり、我々日本人にとっては「ロシア=恐ろしい」という先入観が付いて回る。「おそロシア」という鉄板のダジャレまであるくらいだ。
入国前に感じていたそんなレッテルたちを、ことごとく剥がしていくことが旅の醍醐味とも言える。ロシアのホスピタリティは、想像を遥かに超えるレベルだった。
ラグビーW杯を2019年に、そして東京五輪を2020年に開催する日本も、世界中から集まるスポーツ好きの外国人たちを最高の「おもてなし」で迎えられるよう、入念に準備したい。
文/村上アシシ
プロサポーター、経営コンサルタント、著述家。「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを2006年から継続中。著書は『日本代表サポーターを100倍楽しむ方法』(朝日新聞出版)ほか。
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theWORLD223号 2018年7月16日配信の記事より転載