がんばっている人がいうがんばっては、こんなにも強く胸に迫るものか。大阪市西成区出身のラッパー・SHINGO★西成。はじめて彼の姿を目にしたのは、彼が生まれた西成区釜ケ崎の「こどもの里」を舞台にしたドキュメンタリー映画『さとにきたらええやん』でのことだったが、本作でもそのときの印象そのままに、生きる力を腹の底から奮い立たせるようなメッセージをオーディエンスにぶつけていた。
2018年1月21日、大阪・堂島リバーフォーラムにて開催された、自身3度目となるワンマンライブの模様を収録した本作。ゲストにはJ-REXXX、ULTRA NANIWATIC MC’S、韻踏合組合らを迎え、彼のパフォーマンスにさらなる厚みと広がりを加えている。
HIPHOPって不良の音楽で……というイメージが完全に間違っているわけではないのかもしれないけれど、その“不良”たちの紡ぐリリックに耳を傾けてみると、矛盾だらけの世の中を生き抜く術や、打ちのめされた心に効く特効薬みたいな励ましや、平和への祈りだったりするのだ。聞いてほしい、観てほしい。会場の熱狂はそのまま、私たち大人に突きつけられた宿題みたいにも思えてくる。
（昭和レコード・3500円＋税）＝玉木美企子
