1試合10本塁打の空中戦をア・リーグが制す MVPはブレグマン

ナショナルズの本拠地ナショナルズ・パークで行われた第89回オールスター・ゲームは両リーグ5本ずつ、合計10本の本塁打が飛び出すド派手な空中戦となった。ナ・リーグは9回裏にスクーター・ジェネット(レッズ)の2ランで同点に追い付いたものの、10回表にア・リーグがアレックス・ブレグマンとジョージ・スプリンガー(ともにアストロズ)の二者連続アーチなどで3点を勝ち越し。8対6で延長10回の熱戦を制した。MVPに選出されたのはブレグマン。6回表に代打で途中出場し、10回表の第3打席で見事な勝ち越し弾を左中間へ叩き込んだ。

ア・リーグがクリス・セール(レッドソックス)、ナ・リーグがマックス・シャーザー(ナショナルズ)の先発で始まった夢の球宴。1回表のア・リーグは二者連続三振で二死となったあと、マイク・トラウト(エンゼルス)が四球、J.D.マルティネス(レッドソックス)がセンターへのヒットで出塁して一、三塁のチャンスを迎えたが、ホゼ・ラミレス(インディアンス)がセカンドフライに倒れて無得点となった。一方、1回裏のナ・リーグはハビアー・バイエズ(カブス)がセールの初球をセンターへ弾き返して出塁したものの、後続3人が倒れて無得点。セールは1イニングを無失点に抑えてマウンドを降りた。

2回表のア・リーグは先頭のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)がシャーザーの速球を左中間スタンドに叩き込み、1点を先制。その裏、ナ・リーグはア・リーグ2番手のルイス・セベリーノ(ヤンキース)から先頭のマット・ケンプ(ドジャース)が二塁打を放ってチャンスを作ったが、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)ら後続が倒れて得点を奪うことはできなかった。

3回表、ナ・リーグは前半戦防御率1点台のジェイコブ・デグロム(メッツ)がマウンドに上がったが、ア・リーグは二死からトラウトが外角低めの難しいボールを左中間スタンドへ運んで2点目。その裏のナ・リーグは、ア・リーグ3番手のブレイク・スネル(レイズ)が投じた初球をウィルソン・コントレラス(カブス)がレフトスタンドへ叩き込み、1点を返した。

4回表はナ・リーグ3番手のマイク・フォルティネビッチ(ブレーブス)が一死からジャッジを歩かせたものの、後続をしっかり抑えて無失点。一方、スネルもケンプとハーパーから連続三振を奪い、続くニック・マーケイキス(ブレーブス)を歩かせたところで降板したが、4番手のジョー・ヒメネス(タイガース)がブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)を見逃し三振に抑え、無失点で切り抜けた。

5回表はナ・リーグ4番手のアーロン・ノラ(フィリーズ)が二死からホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)にセンターへのヒットを許したものの、トラウトを一塁へのファウルフライに抑えて無失点。一方、ア・リーグ5番手のホゼ・ベリオスも二死からノーラン・アレナード(ロッキーズ)を歩かせ、代打のヤディアー・モリーナ(カージナルス)にセンターへの大飛球を打たれたが、この打球はトラウトのグラブに収まった。

6回表の守備からナ・リーグの選手が大幅に入れ替わり、5番手のジェレミー・ジェフレスは代打で登場したネルソン・クルーズ(マリナーズ)を歩かせたものの、後続3人をしっかり打ち取って無失点。ア・リーグも同様に6回裏の守備から選手がごっそりと入れ替わり、6番手のブレイク・トライネン(アスレチックス)がナ・リーグの攻撃を三者凡退で退けた。

7回表のア・リーグはナ・リーグ6番手のフェリペ・バスケス(パイレーツ)を攻め、二死からマイケル・ブラントリー(インディアンス)のヒットとジェッド・ラウリー(アスレチックス)の四球で一、二塁のチャンスを作ったものの、ミッチ・ハニガー(マリナーズ)が見逃し三振に倒れて無得点。一方、ナ・リーグはア・リーグ7番手のチャーリー・モートン(アストロズ)からトレバー・ストーリー(ロッキーズ)がレフトへの一発を放って同点に追い付き、さらに二死一、二塁のチャンスを迎えたが、代打のヘスス・アギラー(ブリュワーズ)がショートフライに倒れて勝ち越しはならなかった。

8回表、ア・リーグはナ・リーグ7番手のジョシュ・ヘイダー(ブリュワーズ)から2本のヒットで一死一、二塁のチャンスを作り、代打で登場したジーン・セグーラ(マリナーズ)が真ん中やや高めの速球を叩いて左中間への勝ち越し3ラン。ミッチ・モアランド(レッドソックス)もヒットで続いたが、急遽マウンドに上がった8番手のブラッド・ハンド(パドレス)が後続を抑え、ナ・リーグはなんとか3点差をキープした。その裏、ナ・リーグは2イニング目に入ったモートンからクリスチャン・イェリッチ(ブリュワーズ)がソロ本塁打を放って2点差。試合はア・リーグが2点をリードして9回を迎えた。

9回表、ナ・リーグはハンドと9番手のロス・ストリップリング(ドジャース)がア・リーグの攻撃を三者凡退に抑えて無失点。そして9回裏、ア・リーグは前半戦両リーグ最多セーブのエドウィン・ディアス(マリナーズ)を投入して逃げ切りを図ったが、一死からJ.T.リアルミュート(マーリンズ)が四球を選んで出塁し、続くジェネットが起死回生の同点2ランを放って試合は振り出しに戻された。

10回表、ナ・リーグはストリップリングが続投したものの、先頭のブレグマンと続くスプリンガーが連続本塁打を放ち、ア・リーグが2点を勝ち越し。さらに一死一、三塁とチャンスは広がり、マイケル・ブラントリー(インディアンス)がレフトへの犠牲フライを放ってリードを3点に広げた。10回裏、ア・リーグは9番手のJ.A.ハップ(ブルージェイズ)がマウンドに上がったが、先頭のジョーイ・ボットー(レッズ)にソロ本塁打を被弾して2点差。しかし、後続3人をしっかり抑え、ア・リーグが8対6で勝利を収めた。

10回表に勝ち越し弾を放ってMVPに選出されたブレグマンは「初球の真ん中のボールを見逃してしまったあと、勝負モードに切り替えて強い打球を打とうと思っていた。フェンスを越えてくれたね。とても興奮したし、とても楽しかったよ」とコメント。なお、1試合10本塁打は1971年の6本塁打を大きく上回り、オールスター・ゲームにおける新記録となった。また、両軍それぞれ5選手が本塁打を放った試合は、レギュラーシーズン、ポストシーズン、オールスター・ゲームを通じてメジャーリーグ史上初。なお、ア・リーグはこの試合の勝利によりオールスター・ゲームの通算対戦成績を44勝43敗2分とし、ナ・リーグを一歩リードした。

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