旧ソ連で開発された化学兵器である神経剤ノビチョクに接触し、英国人女性が死亡、別の男性が一時重体となった事件の真相の一端が明らかになってきた。女性は英南部の公園で見つけたノビチョクの入った小瓶を香水と勘違いし、体に振りかけたことが死につながった可能性が高いという。英タイムズ紙(電子版)などが19日までに伝えた。
死亡した女性はドーン・スタージェスさん(44)で6月30日に、英南部エームズベリーの住宅で意識不明の重体となり、病院に搬送されたが今月8日、死亡した。スタージェスさんは前日の6月29日、恋人のチャーリー・ロウリーさん(45)とともに、3月の元ロシア情報機関員襲撃事件の現場近くを訪れており、その際に同事件で使われたノビチョクの残留物に触れた可能性が指摘されていた。
一時重体となったものの意識を回復したロウリーさんは見舞いに訪れた兄に対し、香水の小瓶のようなものを拾い自宅に持ち帰ったと証言。死亡したスタージェスさんは小瓶内の液体を手首に吹きかけたが、液体は「アンモニアのようなにおいがした」という。その後、2人は気分が悪くなり病院に搬送された。
警察当局は、小瓶には3月の襲撃事件の容疑者が残したノビチョク残留物が入っており、スタージェスさんが香水と勘違いして吹きかけた恐れがあると判断した。小瓶はロウリーさんの自宅で押収され、内部にノビチョクが残っているのが確認された。
スタージェスさんの遺体は死因を確定するため19日までに解剖された。警察当局は小瓶の中にあったノビチョクが、3月の襲撃事件に使われたものと同一のものかどうかの鑑定を進めている。 (共同通信=太田清)