ナショナル・リーグ 後半戦地区別展望

躍進が期待されたブリュワーズが期待通りの戦いを披露し、フィリーズやブレーブスが期待以上の快進撃を見せる一方、ナショナルズ、カブス、ドジャースといった「本命」の出遅れが目立ったナショナル・リーグ。カブスとドジャースはその後の巻き返しにより地区首位で前半戦を終えたが、ナショナルズは勝率5割ジャストで地区3位に低迷している。各地区とも地区優勝の行方がまだまだわからない状況のなか、各球団はどのような戦いを見せるのか。ナショナル・リーグの後半戦の行方を地区別に占ってみる。

東部地区

ナショナルズの予想外の不振により、フィリーズとブレーブスが地区首位を争う形となった。フィリーズは得点力に不安を抱えるものの、アーロン・ノラがリーグを代表する好投手に成長。リーグ6位のチーム防御率3.85を誇る投手力を武器に地区首位で前半戦を終えた。ポストシーズン進出のためには打線とブルペンの補強が不可欠だ。ブレーブスは若手の成長により投打のバランスが取れたチームとなった。MVP候補のフレディ・フリーマンは頼もしいが、フルシーズン未経験の若手が多く、彼らのパフォーマンスが今後を左右することになるだろう。投打とも低調なナショナルズだが、選手の顔ぶれだけなら間違いなく地区優勝筆頭候補。ブライス・ハーパーら主力選手の復調がカギを握る。マーリンズは最下位を回避できていることが不思議なくらい。リリーフ陣にはトレードの噂も出ている。好スタートを切ったメッツは大失速で最下位転落。主力投手の放出に動くのか注目が集まっている。

中部地区

戦前の予想通り、カブスとブリュワーズをカージナルスが追う展開となった。カブスはダルビッシュ有がここまでわずか1勝という誤算こそあったものの、チーム得点リーグ1位、チーム防御率リーグ2位と安定した戦いぶりでリーグ最高勝率をマーク。4番手以降に不安が残る先発投手を補強できれば盤石か。ブリュワーズはヘスス・アギラーを中心にリーグ2位の本塁打数を記録し、リリーフ陣も強力。カブスと比較すると投打ともやや見劣りするため、地区優勝を狙うにはトレード市場での補強が不可欠だ。波に乗れない戦いが続くカージナルスは、マイク・マシーニー監督を解任するという荒療治に出た。指導力を高く評価されるマイク・シルト監督代行の手腕に期待したい。パイレーツは6連勝で前半戦を終了。しかし、ポストシーズン進出は厳しい状況であり、売り手に回りそうだ。レッズはジム・リグルマン監督代行のもとで40勝38敗と白星先行。地区最下位だが侮れない存在となりつつある。

西部地区

一時は借金10を背負い、地区最下位タイに転落するなど予想外の苦戦を強いられたドジャースだが、前半戦終了間際に地区首位に浮上。故障者が続出する中でチーム防御率はリーグ1位の3.49をマークしており、選手層の厚さでは他の追随を許さない。野手陣にはマックス・マンシーのブレイクという嬉しい誤算があったほか、トレード市場でマニー・マチャドの獲得に成功。本気でワールドシリーズ制覇を目指す姿勢がうかがえる。ダイヤモンドバックスはチーム打率リーグ14位(.229)という予想外の打撃不振に苦しみながらも上位をキープ。昨季のJ.D.マルティネスのような救世主の出現が待たれる。ロッキーズは打線こそ相変わらず元気だが、大型補強を施したブルペンが救援防御率リーグワースト(5.20)と大誤算。チームのアキレス腱となっている。ジャイアンツは依然得点力不足だが、故障者が復帰して戦力が整えば上位浮上も不可能ではない。再建中のパドレスは1球団だけ蚊帳の外という状況だ。

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