ドナーと職場に助成金 愛川町が骨髄移植の提供後押し 通院や入院の休業補償に

 白血病などで骨髄移植が必要な患者への提供者(ドナー)を増やそうと、愛川町は本年度から、ドナーとなった町民とその町民が働く事業所に助成金を交付する制度を導入した。助成額には上限があるが、ドナーが必要となる通院や入院の間の休業補償として一定の役割を果たすことで、本人の意思や周囲の理解を下支えする狙いがある。 

 助成対象となるのは、提供に伴う休暇制度がない事業所に勤務していて、「日本骨髄バンク」(東京都)が実施する事業を通じ、骨髄か末梢(まっしょう)血幹細胞の提供が完了した町民。事業所については、国や地方自治体、大手企業などで関連の休暇制度がある事業所などは対象外。骨髄などの提供が完了し、医療機関を退院した翌日から1年以内に町健康推進課まで申請する。

 骨髄などの移植を巡っては、適合するドナーが見つかった場合でも就労などさまざまな事情から移植に至らないケースもあるとされ、制度では事業所も含めた経済面からの助成で後押しする。金額は通院や入院の日数によって異なり、ドナーとなった町民本人に1日につき2万円、事業所にも同様に1万円が交付される。上限は本人14万円、事業所7万円。同バンクによると、入院は3~5日で大半のドナーが退院するという。町は本年度当初予算で町民本人と事業所の各2件分を想定し42万円を計上した。

 4月から制度を始め、まだ申請に至ったケースはないが「問い合わせは3、4件寄せられている」(同課)。県内市町村では横須賀市が昨年度に初めて導入。本年度は他に横須賀、鎌倉、大和市、松田町の4市町が同様の助成制度を実施している。

 こうした制度の広がりについて、骨髄移植を待つ患者や家族のサポートなどに取り組む県内のボランティア団体「神奈川骨髄移植を考える会」の村上忠雄会長(72)は「骨髄提供は本人の意思だけでなく、職場や家族など周囲の理解も必要。自治体による助成制度は本人や周囲の背中を押すことにつながるとともに、提供への理解を広める一助にもなるのではないか」と述べた。

愛川町役場

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