鉱促懇、「鉱業政策確立に関する要望書」採択し関係省庁に要請

 日本鉱業協会など非鉄製錬・鉱山関連5団体で組織する鉱業政策促進懇談会(会長・佐竹敬久秋田県知事)は19日、都内で総会を開き、「鉱業政策の確立に関する要望書」を全会一致で採択、同日午後から政府関係者や関係省庁に要請活動を行った。

 今年度の最重点項目には「資源確保のための支援策の強化」と「低廉・安定的な電力供給の確保」の2項目を掲げた。

 資源確保のための支援策強化には、来年3月に期限を迎える減耗控除制度の拡充・恒久化、海外資源開発助成策の拡充を盛り込んだ。低廉・安定的な電力供給の確保では、ベースロード電源の早期確保やFIT賦課金減免措置の維持・拡大、省エネ補助金等の補助施策の維持・拡大を求めた。

 佐竹会長は冒頭の挨拶で「国内産業を支える基礎素材を安定的かつ長期的に確保することが重要。また、世界的な資源獲得競争の激化などで資源開発のリスクは高まっている。そのリスクをどう軽減するかを国家的に捉え、措置を講じる必要がある」と述べた。

 日本鉱業協会の関口明会長(DOWAホールディングス社長)は「IoT・AI化の進展など社会構造が変化していく中で資源・素材の確保と安定供給体制の重要性は増している。長期的な視点で積極的な資源開発ができるよう、減耗控除制度の拡充・恒久化を政府に強く要望したい」と述べた。

 要望項目にはこのほか、資源外交の強化や海洋鉱物資源開発に向けた長期的な取り組み継続などの資源確保のための支援策強化や、製錬業の国際競争力強化に向けた支援、リサイクル事業環境の整備と技術開発の促進、環境・保安対策の充実、産学官連携による人材の育成を盛り込んだ。

 鉱促懇は、地方自治体・非鉄製錬業界・労働組合の3者が一体となって政策要望を行う組織。日本鉱業協会、中小鉱業対策推進中央本部、全国八地方鉱業会連合会、全国金属鉱業振興対策協議会、日本基幹産業労働組合連合会の5団体で構成されている。毎年、次年度政府予算の概算要求策定を控えるこの時期に、鉱業政策に関する要望活動を行っている。

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