【50代から始めた鉄道趣味】その5

※ウィナーノイシュタット駅2014年5月4日撮影

承前。そーいえば筆者はお土産も買いません。

海外では、裏通りにあるふつーのスーパーマーケットに行くのが大好き。そして日常的なつまらないモノを買って来ます。帰国してよく見ると”made in china”とか書いてあって笑っちゃいますけど(ヴェネツィアで買った爪楊枝とか)。

国内だと時代から忘れられた様なキッチュな「お土産」(みうらじゅんさん風に言えば「いやげモノ」?)、例えば奥多摩のお土産屋(おばちゃんの手打ち蕎麦が美味かった!)で見つけた聖徳太子1万円札の灰皿とか、ちなみに奥多摩に行ったのは1992年頃、1万円札が福沢諭吉に換わってから10年近く経ってました。

鉄道旅の場合は荷物になるので土産は買いませんが稀に「これは!」というヘンなモノを見つけると宅急便で洗濯物にくるんで自宅に送ったりします。

閑話休題。

百鬼園先生も、長年東京に住んで居ながら箱根にも日光にも江ノ島にも富士山にも行ったことがないのです。ソレを来日したドイツ人に話して訝しがられる話が阿房列車に出てきます。(百閒先生はドイツ語の教師をしていました)その理由が「皆が行きたがる様な場所には行きたくない」というだけのことです。先生、阿房列車でも観光地に案内されることを嫌がりました。

※2014年12月26日JR九州指宿枕崎線油津付近

その百鬼園先生、時刻表を飽きず眺めて夜が更けるのも忘れた、と書いてます。そうなんです。時刻表を眺めるのは、慣れてくるとメッチャ楽しいんです。鉄道趣味の王道という感じですね。

そして、いよいよ第一回鉄道旅が2009年8月16日(木)にスタートします。元々早寝早起きは苦にならないので早暁から意気揚々と出発します。と言っても当時は隠棲生活の真っ直中、毎朝土鍋で御飯を炊いて納豆と味噌汁で丁寧に朝食をいただく習慣でしたから朝食後にゆったり出発しました。

※2014年7月27日JR東日本津軽線三厩駅

では、鉄道旅の基本を筆者なりに書いてみます。

まず大きなポイントが「我々は旅行者である」ということです。言い換えれば「その場所でのごく当たり前の日常」に「旅行者という非日常の視点で立ち会う」という意識を持って臨むコトが肝要だということです。「我々の日常」から見た場合に鉄道旅では「物珍しい風景」が多々ありますが、それは「ソコにいる自分が部外者」であるから「珍しく感じる」ダケなんだということを肝に銘じておかなければ、タダの個人的な「ガリバー旅行記」に過ぎなくなります。

もちろん鉄道旅に限らず、全ての旅は「日常からの解放」であるからこそ「魅力的」なのです。ただ「その場所で暮らしている人たちが居て、初めてその場所が存在するのだ」というリスペクトを「心の何処かに常に持っていること」がとても大切だと思っています。

では、まず旅程の決定です。

青春18きっぷを使ってJR全線、どこを廻って、どこに行くか予め詳細な予定をたてます。基本的に行く先に用事は無いので、乗りたい路線優先で決めます。冬なら雪を見に行くとか、目的地自体はものすごく大雑把で良いのです。筆者はそれをA4のコピー紙にプリントし旅行中は常にソレを参照します。できればウィキペディアなどで事前に旅程の予習をしておくことをお奨めします。

青春18きっぷはJR全線に乗れますから、気が変わればコース変更は自由自在。もちろん時刻表は必携です。

それに冬期の東北、信越方面では大雪で列車運行に支障が発生して予定通りには行かないこともあります。下の写真の時は、その日の内に秋田まで行く予定が奥羽本線が雪で止まってしまって不可能。秋田の宿に電話して事情を説明、先方も「そりゃしょうが無いですね」とキャンセルOK。そして急遽、何度か泊まった事のあった新庄駅前のビジネスホテルに電話して宿泊させてもらいました。

※2010年12月27日JR東日本奥羽本線新庄駅

【50代から始めた鉄道趣味】その6 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

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