本来は遊撃も外野挑戦でチャンス増、サヨナラ打も大きなきっかけに
「いつも変わらず毎打席結果を出すことを考えて打席に立っています」
ロッテの平沢大河内野手は、レギュラーに手が届きそうなポジションにいる。
プロ2年目の昨季は長年、遊撃を務めた鈴木大地の二塁コンバートにより、平沢をはじめ、三木亮、中村奨吾らで遊撃のポジションを争った。レギュラーの最有力候補として期待されたが、50試合に出場して打率.176、1本塁打、3打点という成績に終わり、つかむことができなかった。
10月に行われたドラフト会議では、社会人ナンバー1の遊撃手といわれた藤岡裕大が加入。さらにポジションを争うライバルが増えた。平沢は藤岡について今年1月の自主トレで、「ライバルだと思っていますけど、去年も競争はあった。引き続きアピールできるようにと思っています」と口にしていた。
練習試合、オープン戦が始まってから先発で起用されたのは藤岡裕。オープン戦期間中に藤岡裕が故障で離脱し、平沢もオープン戦の打率.313と猛アピールしたが、開幕スタメンに名を連ねたのは開幕前に1軍に戻ってきた藤岡裕だった。
開幕からベンチスタートが続いていた平沢だが、開幕直後に首脳陣の指示で外野手に挑戦。これが出場機会の幅を広げるとともに、自身のチャンスを増やした。
「9番・右翼」で出場した6月17日の巨人戦では、3打席目まで無安打だったが、1-1の9回裏の好機でカミネロが投じた2球目の変化球を振り抜き、ライト前に嬉しいプロ初のサヨナラ打。この日を境に平沢はスタメン出場が増えた。
荻野の離脱後で2番起用も、まずは右翼レギュラー奪取なるか
平沢は「後ろに良いバッターがいますし、打てなくてもできることはあると思っているので、そこは大事にしています」と出塁することにこだわっている。
6月27日の楽天戦では、5回の第2打席、エース則本昂大投手に2ストライクと簡単に追い込まれたが、4球目、5球目、6球目の低めの誘い球の変化球に手を出さず、ファウルを挟んで8球目の低めの変化球をきっちりと見極めて出塁するということもあった。
「ボール球は振らないことは意識していますし、甘いボールだけ打つことを意識しています」
打率は.234だが、四球の数が多く、出塁率は.366と打率よりも1割以上高い数字を残している。
打順も9番での出場が多かったが、不動のリードオフマン・荻野貴司外野手が「右手第二指基節骨骨折」で離脱してからは、それまで2番を打っていた藤岡裕が1番となったため、2番で出場する機会が増えた。
振り返れば、出場機会が限られていた5月に平沢は「良いときもあれば、悪いときもありますが、準備して少ないチャンスで頑張るだけです」と黙々と“準備”を続けてきた。その結果、サヨナラ安打が生まれ、スタメン出場のチャンスを自らの手でつかんだのだ。
本来希望する遊撃のポジションではないかもしれないが、まずは目の前に転がっている右翼のレギュラーポジションを奪い取り、そこから定着への勝負をかけていきたい。(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)