優勝候補筆頭の重圧がかかる中、最後まで自分たちのスタイルを見失わなかった。隙のない走攻守、大一番でそれをやり抜く精神力－。稙田監督が「総合力で勝てた。百点満点」と満足げに振り返ったように、文句なしの力で、創成館が県の頂点に返り咲いた。
昨夏の準々決勝。最後の打者となって悔しさを味わった主将の峯が初回に勢いをつけた。「何とか流れを持ってきたかった」と先頭打者で右中間を破る三塁打を放ち、続く鳥飼の中犠飛で生還。あっという間の先制攻撃で１点を奪った。
選抜準々決勝で智弁和歌山に延長逆転サヨナラ負けした経験が、チームを一回りも二回りも成長させた。選抜直後の九州大会は準々決勝で敗れ、６月のＮＨＫ杯県大会も海星に初戦敗退。悪い流れこそ続いたが、本番の夏を前に稙田監督は選手に言い続けた。「おまえたちに足りないのは自信。どこにもない経験はしてきているんだから」
その言葉を胸に、チームは本来の姿を取り戻した。初戦から決勝までほぼ完璧な内容。この日も川原の好投に応えるように、先制後も攻撃の手を緩めず、送りバントを確実に決め、その好機を勝負強い打撃と好走塁で逃さなかった。守備は全５試合で１失策。冷静に、徹底的に守り抜いた。
次に力を示す舞台は平成最後の夏の甲子園。峯が全員の思いを代弁した。「あとは春を超える結果を残すだけ。頂点を目指してやっていく」
