【ブログ】Shots!終盤の雨が演出した言葉にできない瞬間/F1第11戦ドイツGP 2回目

 2年ぶりのドイツGP。雨が演出したF1決勝レース。レースカメラマン熱田護氏は、サポートレースとして開催されたポルシェ・スーパーカップにも大感動。F1決勝とポルシェ・スーパーカップの様子を熱田カメラマンの写真に込められたアツい想いと共にお届けします。
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雨がレース展開を大きく動かしたレースとなりました。
やっぱり、雨はいい!
表彰式が始まろうとした時、雨粒が大きくなり、ドカドカと降り始めました。
雷雨ってやつ。
カッパの用意は持っていたのだけれど、カッパをカメラと自分に付けている時間はありませんでした。
もう、気持ちいい雨!

そして、ルイス・ハミルトン選手の素晴らしい走りにワクワクした!
初めて、ハミルトン選手がカッコよく思えた!(ファンの方すみません……)
予選から流れが悪くなって、自分に流れを持ってきて、追い上げ勝つ。
外から見ていても、その気持ちが見えたレース。
雨という、そのシチュエーションもさらにその気持ちをあふれんばかりに表に滲みさせているようで、なお良し!

忘れっぽい僕でも、このレースは忘れないかな。
本当に、写真を撮っていて良かったと思えたレースでした。

レース後の審議になっていた、ハミルトン選手のピットロードから本コースに戻っているところ。
この時点で、パラパラと雨が降っています。

表彰式が終わっても、しばらくこんな感じの雨!
もう、僕も当然びしょ濡れ、カメラもね。

ドイツ人ドライバーの二人が、レース前にお客さんにご挨拶。
セバスチャン・ベッテル選手のコースアウトは、悔しいだろうという半端な言葉では表現できないほどの出来事。

もし、雨が降らなければ、楽勝な感じだったはず。
チャンピオンらしからぬミスでもありますけどね。
でも、マシンは速いから、次のハンガリーでは何としても勝たなくては!

キミ・ライコネン選手はきっちり仕事をした感じ。

小松礼雄さんがチーフエンジニアを務めるハースのロマン・グロージャン選手。
今回は、しっかりとレースが出来て6位入賞!

マーカス・エリクソン選手が9位!
ホッとしているんでしょうね。

我らが、ブレンドン・ハートレー選手が10位入賞。

ピエール・ガスリー選手は、ウエットタイヤに変えた結果、失敗となり14位。
ハートレー選手が入賞したけれど、実際の速さはイマイチなことに変わりなく。。。

今回のサポートレース、ポルシェ・スーパーカップに出場の小林賢治選手。
前にも書いたことがありますが、本業は歯医者さん。
ポルシェが好きでレースをしたくて、トレーニング、英会話、仕事を一生懸命やり、ドイツのチームに自分で交渉しシートを確保しての参戦。

この写真は、チェッカーを受けたところ。
実は、結果は最後尾でした。
しかし、僕は、この瞬間に感動していました。
なぜならば……

小林選手は、ペースが上がらず先行する車に離されていき、どんどん遅れていきます。
そんなレースをしている小林選手に対して、ラスト5周くらいからお客さんから拍手が送られます。
残り周回が減っていくごとに、どんどんその拍手が大きくなります。
前に離されていっても、最後まで必死にレースを完走しようとする選手に対しての温かい声援。

そしてチェッカーが振られたこのときは、トップチェッカーの選手の3倍くらいの大きな拍手、半分くらいのお客さんはスタンディングオベーションです。
なんだか、本当に嬉しくてね。
どんどん遅れていくその様子もしっかりと見ているお客さんもすごいなあと思うし、単独走行だったので応援してあげようという気持ちもいいじゃありませんか!

レースは、確かに順位を競うという第一義はありますし、結果こそ全てとも言います。それも否定しません。
でも、最下位の選手がいるから勝者もいるわけです。
向上心を持って真面目に取り組むドライバーが参戦するということは尊いことだと思います。

特に、日本人という東洋人が世界のポルシェ使いが集まるこのシリーズに苦労しエントリーし戦うという気持ちが素晴らしいじゃありませんか!
日本を飛び出してこのシリーズに挑む若者がもっと出てきてもいいのにと思うのです。

日本で変にふんぞり返って、俺はプロのレーサーだって言っているそこのあなた!
どうか、例えば、自腹でもスポンサーさん付きでもいい、このポルシェのレースに出てみませんか!
きっと、たまげると思いますよ!
世の中には、こんなに速い人がいるんだ、そして、ぶったまげるサーキットがあるんだって思うんじゃないかと……

小林選手に聞いてみてください、エントリーの方法きっと教えてくれると思います。
偉そうに書いてすみません。

心から、日本からの参戦、お待ちしております!

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