【高校野球南神奈川】鎌倉学園21年ぶり4強

 第100回全国高校野球選手権神奈川大会第12日は23日、横浜スタジアムなどで南神奈川の準々決勝4試合を行い、星槎国際湘南は初、横浜は6年連続、鎌倉学園は21年ぶり、横浜創学館は7年ぶりのベスト4進出を決めた。

 前回王者の横浜は万波中正(3年)の2ランなどで立花学園に六回コールド勝ち。第1シードの鎌倉学園は延長十二回に3番新倉将大(同)のサヨナラ打で藤沢翔陵に4-3で競り勝った。第2シードの横浜創学館は藤嶺藤沢を延長十回の末に12-6で下し、星槎国際湘南は第1シードの金沢に6-2で勝利した。

 第13日は同スタジアムとサーティーフォー保土ケ谷球場で、北神奈川の準々決勝4試合を行う。

▽準々決勝(サーティーフォー保土ケ谷球場)

藤沢翔陵

100 020 000 000|3

300 000 000 001x|4

鎌倉学園

(延長12回)

 【評】両校無失策で救援陣が踏ん張った好試合は延長十二回、鎌倉学園がサヨナラ勝ち。1死満塁から新倉が左前適時打で3時間45分の熱戦を終わらせた。2度の満塁機を逸するなど計19残塁と攻めあぐねたが、五回途中からロングリリーフして無失点だった右腕大浦の力投に応えた。藤沢翔陵は初回に中島のソロ本塁打で先制。五回には4短長打で同点に追い付くなど相手を上回る14安打を放ったが、最後まで勝ち越せなかった。

■堅守から好機つかむ

 押しても押しても、一打が出なかった。残塁は19を数えた。延長十二回、サヨナラ打の鎌倉学園・新倉は言った。「この試合は我慢強さが鍵だった」。耐えて、21年ぶりの4強を勝ち取った。

 六回以降、3-3でゲームが固まった。七回は無死満塁、九回は無死二塁、延長十回は1死二塁の好機を逃した。試合を決めた延長十二回1死満塁は一体「何度目の正直」だったか…。竹内智一監督(36)も「本来は九回で終わらせるべき試合」と苦笑する。

 勝機は守りでつないだ。十一回は投手大浦が三塁線への巧みなバントを殺し、2死二塁からは中野が一塁付近で弾むゴロを前へ出て胸に当てて抑え、ピンチを脱した。数々の修羅場を乗り越えての無失策だった。

 古豪と呼ばれて、神奈川大会で惜しい敗退を続けてきたこの数十年。ずっとこういう「いつも通り」ができなかった。

 練習中にミスがあるたび、指揮官は「何年前の夏はそれで負けたぞ」と声を張り上げてきた。主将西畑は「僕らがそれを乗り越えることで、過去の負けやミスが財産になる」とチームの歴史を受け止めた上で、殻を破ろうと強い意志を込めてプレーしている。

 秋、春、夏と4強まで来たが、ここで終わっては古豪のままだ。

 「第1シードの面目などは何とも思わない。うちは、甲子園に行けるか行けないかの2択だけ」と竹内監督。歴史を動かす準備はできている。 

■大浦、猛打の勢い止める

 猛打を振るってきた藤沢翔陵の勢いを止めたのは鎌倉学園の右腕・大浦だ。熱戦に終止符を打つサヨナラのホームも踏み、「うれしかったけど、長くて、体もきつかった」と、大粒の汗を滴らせた。

 五回途中から救援した背番号10。187センチの長身から140キロの直球とフォークボールでねじ伏せる。六~九回はパーフェクト。延長十二回は2死一、三塁の走者を背負ったが、「走者がいるほうが燃える。得意球で押すしかない」と、力いっぱいの直球で4番羽立を中飛に打ち取った。

 今春の県大会準決勝では変化球の制球が定まらず、横浜打線につかまって二回途中10失点で降板。悔しくて、学校周辺の坂道でダッシュを繰り返した。たくましくなった下半身を眺めて「もう春の自分とは全然違う」と自信がみなぎる。

 準決勝で戦う横浜創学館は昨夏の2回戦で負けた相手だ。「今年もよく打つチームだけど、自分が抑えれば大丈夫。絶対やり返したい」 

【鎌倉学園-藤沢翔陵】延長12回裏鎌倉学園1死満塁。左前にサヨナラ打を放ち、笑顔でチームメートに迎えられる新倉 =サーティーフォー保土ケ谷球場

© 株式会社神奈川新聞社