接収された「占勝閣」など 「米軍占領下の長崎」写真展始まる 原爆追悼祈念館 8月3日まで

 原爆投下直後に米軍占領下にあった長崎の様子を捉えた写真展が23日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で始まった。展示する約70点のほとんどが初公開。世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産、三菱重工長崎造船所の迎賓館「占勝閣」が米軍に接収された歴史なども紹介されている。観覧無料、8月3日まで。
 長崎平和推進協会写真資料調査部会が主催。長崎市が2013年から米国立公文書館で収集した原爆関連写真のうち、米国海兵隊が撮影した記録写真を中心に展示している。海兵隊は1945年9月から長崎に進駐、捕虜解放や治安維持などに当たった。
 同年10月4日に撮影され「ウィリアムズ大佐の家」と記録された写真は、同部会が写真展に向けて建物の形状などを調査した結果、占勝閣と判明。建物内観の写真も展示しており、米軍高官が自宅として使用した形跡が見られる。このほかの写真では、外国人捕虜が長崎港駅(当時)に止まる列車内で生活する様子や、日本兵の武装解除の模様など、占領期の諸相がうかがえる。
 同部会の松田斉部会長(62)は「原爆を経験した直後に市民は新たな占領の恐怖に直面した。戦争が人々にとっていかに非生産的であるかを感じてほしい」と話した。

米軍に接収された占勝閣の写真を前に解説する松田部会長(右)=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

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