金属行人(7月24日付)

 「先月は大阪北部地震の被災者にお悔やみ、お見舞いを申し上げた。わずか1カ月後の今回も西日本豪雨という大災害へのお悔やみを申し上げることになるとは…」――23日の全国小棒懇談会で里嘉郎会長(新日鉄住金執行役員建材事業部長)が語った。ここ1カ月で地震や豪雨で多くの人命が失われた。里会長は「建設に携わる者として多少とも防げたのでは」と悔しさをにじませた▼『天災は忘れたころにやってくる』との警句があったが、近年の日本では各地で豪雨災害が頻発。大きな地震も相次いでいると感じる。被災地の復旧は優先課題だが、目前に迫った大災害への備えとして国土強靭化に向けたインフラ整備に取り組んでいく必要があるのではないか▼目前に迫った災害という意味では、最近一つ気になる話を聞いた。今年に入り神奈川県の相模川でアユが大量遡上しているという。地元では〝アユの豊漁は地震の前触れ〟との言い伝えがあり、実際に関東大震災の前にアユが入れ食いになった記録もあるそうだ▼自然の変化から災害の予兆をしっかり読み解くことは重要だろう。同時に、さまざまなインフラ整備で災害に備えることも我々ができる手立てだろう。生活の安全・安心を守るため小棒を含め鉄鋼業の果たすべき役割はまだまだ大きい。

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