<ブレーク盤> BRADIO『YES』 70年代洋楽風の濃厚さと、楽曲の豊富なバリエーション

BRADIO『YES』

 メジャー・デビュー・アルバム。5年以上にわたるインディーズ活動から、ブラック・ミュージックへの敬愛および傾倒ぶりで注目されてきた男性バンドだ。

 全12曲を通して聴くと、ディスコ調の『Sexy Lover』、郷ひろみ並みのアクの強いラテン歌謡に挑んだ『Boom!Boom!ヘブン』、ムーディーな『Sparkling Night』、更にはヒップホップ色の強い『Shout To The Top』など、70年代洋楽風の濃厚さは一貫しつつ楽曲のバリエーションは豊富だ。

 また、フィリー・ソウル調の『きっと遠く キミともっと遠く』あたりを聴くと、真行寺貴秋の地声との繋ぎ目がスムーズなファルセットや、メンバー全員での流麗なコーラスワークなど歌唱面の魅力の大きさが分かる。それゆえ、久保田利伸や石井竜也など、ベテラン・アーティストのファンにもおススメできる。

 DVDには約70分のLIVEの模様と『Boom!~』のビデオを収録。CD以上にエネルギッシュな歌と演奏も見事だが、時折デビュー出来た喜びを見せるのも初々しくて良い。本作を堪能すれば、懐かしいものにも新しいものにも寛容になれるはず。

(ワーナー・CD+DVD初回限定盤3800円+税)=臼井孝

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