「どちらさまですか?」 諫早市長に長崎県庁カウンター職員 苦言受け「職員専用エリア」出入り緩和検討

 長崎県は、県庁舎で外部の人間が自由に入れない「職員専用エリア」について、市町長や市町職員などに限ってスムーズに出入りできる方策を検討することにした。19日に長崎県と21市町の首長が集まった「スクラムミーティング」で、宮本明雄・諫早市長が「前よりも自由に入れない気がする」と苦言を呈し、中村法道・長崎県知事が「深刻なお話をいただいた」と応じたためだ。

 旧庁舎では来庁者は執務室に入ることができたが、新庁舎はセキュリティー強化や情報漏えい防止のため執務室を「職員専用エリア」と設定。来庁者はエレベーターホールやカウンターの内線電話で担当職員を呼び出す手間がかかる。県職員からも「市民にとっては面倒くさいと思う。カウンターで電話をかける必要まではない」「昔は応対にスピード感があったが、今はない」との声も聞かれる。

 その影響は首長にも及んだよう。宮本明雄・諫早市長は、長崎県庁カウンターで職員から「どちらさまですか」と言われ、待たされたエピソードをスクラムミーティングで明かし「気軽に部長や課長を訪問できるようになったら良い」などと改善を求めた。

 これを受け、長崎県は市町長や市町職員などを対象に自由に入れる方策を検討。専用パスポートを作れないかも協議する。しかし、一般の来庁者には従来通り内線電話で呼び出す仕組みを求めるという。

 ある県職員は「セキュリティー上、すべてオープンにはできないだろう」。しかし、別の県職員は「偉い人だけ『顔パス』になるというのもおかしい。一般県民が相談しにくくなっているようでは本末転倒ではないか」とこぼした。

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