トヨタのラッピ「チーム内、ライバルチームとの戦いはさらに厳しく」/WRC第8戦フィンランド 事前コメント

 7月26~29日に行われるWRC世界ラリー選手権第8戦フィンランドに向けて、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。

 全13戦で構成されている2018年のWRC。その後半戦初戦となるが、シリーズ中もっともアベレージスピードが高い高速グラベル(未舗装路)ラリーのラリー・フィンランドだ。

 ラリー・フィンランドは1951年、当時のラリー・モンテカルロに出場するフィンランド人ドライバーを決めるために初開催。WRCには1973年、1000湖ラリー(1000 Lakes Rally)の名称でカレンダー入りを果たした。

 これまでラリー・フィンランドは通算67回開催されており、そのうち55回はフィンランド人ドライバーが制覇。最多優勝記録はハンヌ・ミッコラとマーカス・グロンホルムの通算7勝だ。

 2018年大会は全23SSで構成され、このうち40%はここ数年は使われていないルートが舞台。また2017年大会からは65%のルート構成が異なっている。

 競技は現地26日(木)19時にサービスパークが設けられるフィンランド中央部の都市、ユバスキュラを舞台に争われるSS1で幕を開ける。

 競技2日目の27日(金)はSS2~11の10SS、3日目の28日(土)は8SS、最終日となる29日(日)は4SSの走行が予定されている。このうち最終SS23はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。

 WRC最上位クラスはMスポーツ、ヒュンダイ、トヨタ、シトロエンの全チームが3台体制でエントリー。Mスポーツはテーム・スニネン、ヒュンダイはヘイデン・パッドン、シトロエンはカリッド-アル・カシミが、それぞれ3台目のマシンをドライブする。

 またTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに所属している新井大樹と勝田貴元がWRC2クラスからラリー・フィンランドに参戦。トミ・マキネン・レーシングが走らせるフォード・フィエスタR5をドライブする。

 またコドライバーとしてラリーチャレンジプログラムに参加している足立さやかもヤルッコ・ニカラとのコンビでトミ・マキネン・レーシングのフィエスタR5に乗り込む。

 ドライバーズチャンピオン争いではここまで3勝を挙げ、全戦でポイントを獲得しているティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が149ポイントでトップ。

 同じくシーズン3勝を挙げているもののリタイアなどでポイントの取りこぼしがあるセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が27ポイント差でランキング2番手につけており、チャンピオン争いではこのふたりが抜きん出ている状況だ。

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■Mスポーツ・フォード

●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)

「少し休憩して、家族や友人たちとゆっくりくつろぐ時間が取れてよかった。でも、もう戦いを再開する準備はできていて、完全にラリー・フィンランドに集中しているよ」

「多くのファンにとって、ここがシーズンのハイライトとなるけれど、理由は簡単だ。ここには他では味わえない雰囲気があるんだ。そしてこのコースはラリーのために作られたような道だからね」

「ラリー・フィンランドはシーズン中で最速のイベントで、0.1秒の世界を争うことになる。本当に激しいバトルになる。だけど、Mスポーツとフォード・パフォーマンスのエンジニアやデザイナーたちは、僕たちが最高の成績を手にできるように、絶え間なく努力を続けてきた」

「マシンリヤのエアロダイナミクスにアップデートを加えるから、それでパフォーマンスが向上することを願っているけど、勝利するためには週末を通してすべてを完璧にこなす必要がある」

「昨年、フィンランドでこのマシンが強かったことは分かっているし、テストでもいいフィーリングが得られた。だけどここは最小限のミスでさえ許されないラリーなんだ。無論、僕らは全力を尽くすよ。目標はいつでも最大限ポイントを獲得することだからね」

●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)

「前回のラリーからだいぶ時間が経ったような気分だけど、この間何もしていなかったわけじゃない。チームは(ラリー・フィンランドに向けて)懸命に作業をしていたし、いいテストもできたよ。僕個人としてはフォードやレッドブルとPR業務に勤しんだよ」

「最高のロードカーである新型フォード・フィエスタSTのPRにかかわったし、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード前にはプロモーション撮影でフィエスタWRCをドライブしたんだ。グッドウッド・フェスティバル自体も素晴らしかったよ」

「WRカーでフィンランドのグラベル路面を走るなんてつまらない、という人は僕に挑戦してきてほしい。ハイスピードで走るテクニカルステージは素晴らしく、リズムに乗れたときのフィーリングは最高だよ」

「昨年、ここでいい結果を出せたし、テストでもいいフィーリングを得られた。だけどミスが許される余地はほどんどないし、ライバルとのギャップもわずかだ。小さなミスが命取りになる」

「激しい戦いになるから細心の注意を払って、クリーンかつ正確なドライビングをする必要がある。しっかり自分の仕事をすれば勝つチャンスは巡ってくると信じている」

●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)

「いい形で事前テストができた。ラリー・フィンランドに向けた準備が整ったという手応えを感じている」

「テストではチームがあらかじめ用意したセットアップでスタートして、200㎞以上を走り込んだ。僕たち3人のドライバーが全員ほとんど同じセットアップで走るから確認すべき点はわずかだった。マシンは本当に速かったよ」

「昨年は(総合4位で)表彰台にかなり近づけたから、トップ3に入るのが究極の目標だね。実現するのは難しいかもしれないけれど、ベストを尽くすよ。ラリーを3位で終えるか6位で終えるかを決めるのは、ほんのわずかなマージンなんだ」

■ヒュンダイ・モータースポーツ

●アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)

「ラリー・フィンランドは本当に素晴らしいラリーだね。おそらくドライバーたちがもっとも恐怖を感じるイベントであると同時に、心の底から勝ちたいと願うラリーなんだ」

「グリップレベルが高くないから、ステージをハイスピードで走るためにはマシンの仕上がりに自信を持たなくちゃいけない」

●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

「サルディニアは(優勝できて)最高の週末になった。サマーブレイク前に最高の結果を手にできた。その勢いをシーズン後半戦につなげる準備はできているよ」

「ラリー・フィンランドは誰もが楽しみにしているラリーのひとつだ。今年はサマーブレイクが長くなっていて、(ラリー・フィンランドで)すぐさまマシンに乗り込まなくちゃいけないから、かなりトリッキーな戦いになる」

「2戦連続で僕たちは1番手走者を務めるけど、コースの“清掃役”を務める影響はほとんどない。スピードが速くてタフな戦いになるけど、チャレンジが待ち遠しいよ」

●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)

「僕にとって、フィンランドはシーズンでもっとも素晴らしいラリーだ。コースやジャンプ、純粋なスピードの素晴らしさだけでなく、雰囲気も刺激的だ。髪の毛が逆立つような気分さ」

「ヒュンダイi20クーペWRCをドライブするのが楽しみだ。チームと一致団結して最高の結果を残したい」

■シトロエン・レーシング

●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)

「ラリー・エストニアは僕にとってとても良い準備になった。いくつかの点を見直すチャンスがあったし、新たなフロントのジオメトリーによって、C3 WRCのバランスがより改善されたことも分かったんだ」

「このラウンドに向けて手応えを感じている。特にここは僕が多くの経験を持っているWRCラウンドのひとつだからね。ここでは経験が間違いなく重要になる。たとえ今年のイベントでいくつかのステージが変更されていてもだ」

●マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)

「このイベントはシーズンのなかでもお気に入りのひとつだ。レッキで正確なペースノートを作る必要があるけど、そのあとは全開でアタックするだけさ! タイヤの摩耗や路面の荒れ具合を気にする必要はない」

「ここにはとても良い思い出があるんだ。シトロエンから参戦した2015年大会では表彰台にも上がったしね。大会前のテストを活用して良いスタートを切りたいし、(本番でも)同じパフォーマンスを発揮したい」

●カリッド-アル・カシミ(シトロエンC3 WRC)

「このラウンドは僕が2007年にワークスチームでデビューを飾ったところだから、特別なものなんだ」

「ステージをハイスピードで走行しながら何度もクレスト(丘)を越えていく感覚は本当に独特だ。それゆえにラリーを難しいものにしている。対策として落ち着いて運転する必要があるし、ペースノートも万全にしなくては」

■トヨタ

●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

「ラリーを心待ちにしている。僕にとっては、シーズン後半戦をポジティブにスタートするための大きなチャンスだ。ホームイベントということで、力強い応援をいつも感じているし、フィンランドで作られたクルマをドライブする今はさらに強くそう思う」

「昨年はチーム全員が一体となっていることを強く感じた。今年はルート変更があり、それが大きなチャレンジのひとつでもある」

「いくつかのステージは過去に走ったことがあるけど、随分と昔のことだし、知らないセクションもかなりある。だから、より公平な条件での戦いとなるだろうね」

●オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

「ラリー・フィンランドはお気に入りのラリーのひとつだ。非常にハイスピードであり、ジャンプでは高い技術力が求められたり、かなり特殊なラリーなんだ。道をリスペクトして走らなくてはならないね」

「今年は、僕が知らない新たな道がコースに組み込まれ、より大きなチャレンジになりそうだ」

「プレイベントテストに加え、先週末にはラリー・エストニアに出場し準備は万端さ。ラリー・エストニアでは多くのファンの前で優勝することができたけど、彼らの一部はきっとラリー・フィンランドにも来てくれるだろう」

「フィンランドでもファンに良い結果を報告できるように、頑張りたいと思う」

●エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)

「僕にとってラリー・フィンランドはつねに特別な1戦だったけど、昨年優勝したことによって、さらにその想いが強まった。とても楽しみであるのと同時に、今年はより大きなプレッシャーを感じているよ」

「もちろん良い結果を望んでいるけど、それは誰もが同じなので頑張らなくてはならない。優勝のハードルは昨年よりも上がっていると思うよ」

「チーム内での、そしてライバルチームの選手との戦いはさらに厳しくなるだろう。また、新たに設定されたステージも、大きなチャレンジとなる。我々のクルマには競争力があるから、良いペースノートを作り、良いドライビングの流れを掴むことに集中したいと思う」

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