復興教育、岩手に学ぶ NIE全国大会、豪雨被害の真備中教諭

災害後の学校再開時の注意点や子どもたちへの接し方などを藤岡宏章所長に尋ねる高橋恵子教諭(左)=26日、盛岡市盛岡駅西通・マリオス

 「困難の中にいる子どもたちの未来のために学びたい」。26日に盛岡市で開幕した第23回NIE全国大会盛岡大会には、西日本豪雨で被害を受けた地域の教育関係者も参加した。校舎が被災した岡山県倉敷市真備(まび)町の真備(まきび)中(斎藤善紀校長、生徒248人)の高橋恵子教諭(54)は、東日本大震災後の教育現場や復興教育を学ぶために来県。いわての復興教育プログラムの立案・作成に関わった県立総合教育センターの藤岡宏章所長から震災当時の話を聞き、子どもたちの「心のよりどころ」となる学校の再開を見据えた。

 高橋教諭は大会開幕前に藤岡所長と面会。真備町の被害を説明し、学校再開の準備、生徒の心のケアなどを尋ねた。「これほどの被害は想像しておらず、毎日が手探り。わがままを言わず、けなげで元気な子どもたちの姿が逆に心配だ」と切実な思いを投げ掛けた。

 倉敷市北西部に位置する真備町は小田川の堤防が決壊し、住宅街を含めた広範囲が水没。3階建ての同校も2階部分まで水が入り、設備が使い物にならなくなった。生徒全員が無事だったが、自宅が全壊して避難所やみなし仮設住宅で暮らす家庭も多い。

 現在は夏休み中で、9月3日から倉敷芸術科学大を間借りして学校再開する予定だが、車で40分ほどかかり通学に不安が残る。

 藤岡所長は震災時の経験から「学校復旧は市や県など大きなくくりで対応する必要がある。先生は生徒に寄り添い、じっくり話を聞くことが重要だ」と助言。

 生徒のよりどころとして学校の早期再開を進めつつ、総合教育の時間を増やし、スクールカウンセラーも配置して精神的な支えを重視したことも伝えた。学校再開までのガイドラインなどの資料を提供。教材がない中、新聞を使って授業をした事例も紹介した。

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