インディ第13戦ミド・オハイオ:ロッシが難コースを完全制圧。琢磨は序盤の接触に泣く

 ミド・オハイオ・スポーツカーコースで開催されたインディカー・シリーズ第13戦。29日に行われた決勝レースは、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がポール・トゥ・ウインで今季2勝目を飾った。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は序盤での接触が影響し17位でレースを終えた。

 アレクサンダー・ロッシが今シーズン2勝目、キャリア4勝目をミドオハイオ・スポーツカーコースで挙げた。ポールポジションからスタートしたロッシは、予選2番手だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に攻撃の隙を与えずに周回を重ね、90周のレースを30周ずつ2回のピットストップで走り切った。

 イエローが一度も出ないレースとなったが、ロッシは集中力を切らすことなく攻めの走りを続け、レッドでもブラックでもトップレべルのラップタイムを記録。その結果、2位に12秒以上の大差をつけてチェッカーフラッグを受けた。

 ライバルたちが200秒のプッシュ・トゥ・パスをフルに使って戦っていたのに対し、ロッシは半分以上の126秒を残してゴール。それほど今日の彼は走りは“キレ”があった。

 先頭を走り続けるロッシを逆転しようと多くのチームが早めに1回目のピットストップを行う作戦に出た。自分たちがピットした後にフルコースコーションが出れば、一気に大きなアドバンテージが得られると期待してのことだった。しかし、3回のプラクティスと予選で頻発したスピンやアクシデントが、決勝レース90周の間にはとうとう一度も出なかった。

 2位フィニッシュしたロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン)は、レース中盤の2スティントで投入したブラックタイヤでのペースが今ひとつだった。佐藤琢磨のすぐ後ろにピットアウトした第3スティントでは、第2スティント以上にペースが上がらず、琢磨にアタックを仕掛けることもできずに周回、勝機を掴み切れなかった。

「2ストップでいくか、3ストップにするか。先週からチームで検討を続け、3ストップでいくことにした。残念なのは第3スティントでバックマーカーの後ろにピットアウトし、自分のペースで走れなかったこと。誰も前にいないスペースを走れていたら優勝争いができていたと思う」と展開が味方しなかったことを悔やんでいた。

チャンピオン争いの行方は?

 ホンダ・インディ200でホンダはワン・ツー・フィニッシュ。アイオワからの3連勝で今シーズン8勝目だ。

 3位はパワー。彼も3ストップ作戦に出て逆転を狙ったが、予選5番手だったウィケンスの後ろでのゴールとなった。

 ポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は、予選で不運に見舞われ9番手スタートとなった。レッドタイヤにスイッチしてアタックラップに入ったところでジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がクラッシュ。

 赤旗でそのままセッション終了となったのだった。グラハム・レイホールと佐藤琢磨も同じ不運に遭遇し、レイホールは7番手スタート、琢磨は8番手スタートとなった。

 ディクソンは5位までポジションを上げてゴール。被害を最小限に抑えた。レイホールは順位をふたつ落として9位でゴール。

 琢磨はスタート直後の1ラップでレイホール、チルトンをパスして6番手に浮上。勢いに乗るかと期待されたが、2ラップ目にチルトンに追突されてスピンし、17番手までダウン。

 早めにブラックタイヤに切り替える作戦で逆襲を目指したが、ブラックでのマシンに安定感がなく、残る周回は延々と苦戦が続いていた。最終結果も17位。

「スタートは狙っていたし、うまくポジションを上げることができた。グラハムを少し押し出す形になってしまったけれど。レッドでのスタートで上位を保っての戦いができると思っていたのに、2ラップ目にチルトンに追突されてスピン」

「ブラックタイヤに切り替えてからはグリップ感が全然なかった。良くなるだろうと考えてセッティングをいろいろと変えていったのは事実だけれど、なぜこれほど苦しいレースになったのかをチームとして調べないとならないですね」と琢磨は語っていた。

 うれしい今季2勝目を挙げたロッシ。ボーナスも総取りで54点の荒稼ぎだ。今日4位フィニッシュだったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)を抜いてポイントランキング2位へと浮上した。

 トップをいくディクソンはニューガーデンの後ろの5位フィニッシュで今日の成果は30点。残り4戦でロッシとの差は46点となっている。

 2016年の開幕直前にアンドレッティ・オートスポートと契約。その約3カ月後には記念すべき第100回インディ500で、初出場ながら優勝。チームの大ギャンブルが成功しての勝利は、彼が驚くべき燃費を実現したことで達成された。

 参戦2シーズン目の後半戦から完全なるトップコンテンダーとしてレースを戦うようになり、名門ロードコースのワトキンス・グレン・インターナショナルでキャリア2勝目を記録。

 3シーズン目となる今年、ロッシはチャンピオン候補のひとりとして開幕を迎え、伝統あるストリート・イべントのロングビーチGPで優勝。

 ポイントスタンディング3番手で迎えた第13戦、シリーズで最も難しいロードコースとも言われるミド・オハイオでポール・トゥ・ウインを飾った。

 ロング・ビーチはカリフォルニア出身のロッシにとっては地元での優勝。そして同時に、アメリカン・ホンダのホーム・レースでの勝利でもあった。そして今日、ロッシは”ホンダ・インディー200アット・ミド・オハイオで優勝。

 彼の4つの勝利は、いずれもインディカー・シリーズでステイタスの高いイべントで達成されている。

 デビュー年の2016年はランキング11位で、シリーズとインディー500両方でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。翌2017年はシリーズ7位だったロッシ。デビューし3シーズン目にして一気にタイトルまで手を届かせることができるだろうか?

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