【高校野球北神奈川】慶応10年ぶり夏制覇 恩返しの一撃

 高校野球の第100回全国選手権神奈川大会最終日は30日、横浜市中区の横浜スタジアムで、慶応-桐光学園の北神奈川の決勝が行われ、慶応が7-5で桐光を下して10年ぶり5度目の優勝を飾り、春夏連続の甲子園出場を決めた。東京代表時代を含めると18度目の夏の甲子園となる。

 神奈川の100回目の夏を締めくくる一戦で、慶応は1-0の二回に宮尾将(3年)が2点本塁打を放ち、三回にも廣瀬隆太(2年)のソロ本塁打などで加点した。エース生井惇己(3年)は八回途中まで5失点。桐光は八回に4得点と猛反撃を見せたが及ばなかった。

 慶応と、29日の南神奈川を制した横浜が出場する全国選手権大会は8月2日に組み合わせ抽選会が行われ、同5日から17日間、兵庫県西宮市の甲子園球場で開催される。

▽決勝

慶応

122 000 110|7

000 100 040|5

桐光学園

【評】慶応が序盤の長打攻勢で逃げ切った。初回に敵失で先制すると、二回2死から宮尾の2ラン、三回には廣瀬のソロと善波の適時二塁打で5点のリードを奪った。先発生井は疲労の出た終盤につかまったが、2番手の渡部が制球に苦しみながらも自責点0で切り抜けた。桐光学園は八回に代打鵜沢の本塁打など打者10人の反撃で4点を奪ったが、あと一歩及ばず。二回の盗塁失敗や五回のけん制死などで流れを引き寄せられなかった。

◆監督へ恩返しの一撃 慶応2年生の4番廣瀬

 ゴツン-。緩いカーブを捉えたのは、バットの先っぽ。慶応の4番廣瀬はなりふり構わず、豪快にすくい上げた。

 鈍い打球音にも「芯に当たった感じで振り抜けた」から、打球はぐんぐん伸びた。三回1死。左翼席で打球が弾み、球場全体がどっと沸く。八回にも適時二塁打で追加点。2年生スラッガーが逃げ切りを後押しした。

 今夏の2発目は、高校通算50本の大砲をほうふつさせた。2学年上のOB正木智也(慶大1年)は同じ強豪の東京・世田谷西シニア出身。昨夏は準々決勝で桐光に敗れた元主砲はこの日観戦に訪れ、「勝負強い。さすが後輩」と舌を巻いた。

 全試合で4番を任せてくれた期待に応えたかった。慶応幼稚舎時代に野球部に入部し、当時チームを率いていた森林貴彦監督(45)から2年間、指導を受けた。ラガーマンの父崇さん譲りの恵まれた肉体に「打球を飛ばす力がずば抜けていた」と目をかけてくれた恩師と高校で再会を果たした。

 「長い間、ずっとお世話になった恩を返したかった」。感慨に浸った廣瀬は「甲子園でも長打を狙う」と宣言。慶応ボーイは、バットで名門の歴史を切り開く。

10年ぶりの優勝に喜ぶ慶応ナイン=横浜スタジアム

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