審理中の諫干関連訴訟4件 開門派に厳しい流れか 弁護団は「影響ない」

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を巡る訴訟は、請求異議訴訟を除いて4件が係争中。そのうち、漁業者が原告か、関連する訴訟は3件。今回、開門確定判決の効力が失われたことで、開門派にとって厳しい展開が予想されるが、漁業者側弁護団は「影響ない」と言い切る。

 3件のうち、「結論が近い」とみられるのが、諫早市小長井町などの漁業者による第1次開門請求訴訟。漁業者側は2015年9月、控訴審で敗訴、最高裁に上告したが、3年近く結論は出ていない。同弁護団は「関連訴訟がすべて最高裁に上告され、まとめて結論を出すのかもしれない」とみる。このほか、雲仙市瑞穂、国見両町などの漁業者が起こした第2、3次開門請求訴訟は長崎地裁で審理が続いている。

 昨年4月の開門差し止め訴訟で敗訴した国は控訴を見送ったが、補助参加していた漁業者側が自ら控訴できる独立当事者参加を申し立てた。福岡高裁は3月、申し立てを却下したが、漁業者側が上告。差し止め判決の確定時期は見通せない。

 漁業者側は農業者との連携にも注力する。干拓地での営農者2社は今年、鳥害賠償請求と開門請求訴訟を提起した。堤防閉め切りで造成された淡水の調整池にカモが飛来し、農作物を食い荒らす被害が発生した-と主張。開門して海水を流入させ、調整池などの環境改善を訴えている。

 漁業者側弁護団の馬奈木昭雄団長は、2社に続く営農者の提訴に期待を寄せつつ、「開門してこそ農業も漁業も繁栄できる」と司法の場で農漁共存を求める考えだ。

審理中の諫干関連訴訟

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