民話「じんねみどん」朗読プロジェクト 「佐世保弁」教材で自己表現力育む 11月に発表会

 「じんねみどんはかりゅうどとしてもよか腕ばもっとらしたとて」-。佐世保市の大野・皆瀬地区には、古くから語り継がれてきた「じんねみどん」と呼ばれる民話がある。その朗読を通じ子どもの言語力やコミュニケーション力を育む取り組みが始まった。小学1~5年生までの児童8人が、11月のさせぼ文化マンスで開く発表会に向け、練習に励んでいる。
 子育てを支援するNPO法人「子どもと女性のエンパワメント佐世保」(櫻井英子代表)が主催。10年以上にわたって絵本の読み聞かせなどを続ける櫻井代表によると、年々子どもたちの自己表現力が落ちているという。佐世保弁で書かれた民話を教材に、ユーモラスな方言を楽しみながら表現する力を身につけてほしいと企画した。
 7月下旬には市立図書館(宮地町)で初めての練習会が開かれ、30~80代の28人が子どもたちを手助けした。発声練習の後、初めて「じんねみどん」を読んだ子どもたちは、なじみがない昔ながらの佐世保弁に苦戦。「『そいぎ』ってどんな意味?」「どこで区切ればいいのか分からない」などと、尋ねながら読み進めていた。
 小学校に入ったときに長崎市から引っ越してきた市立春日小5年の田尻光雪(こゆき)さん(10)は「佐世保弁を知りたくて参加した。分からない言葉だらけ」と不安げな様子。市立江上小4年の鶴青空(せいら)さん(10)は「難しかった。言葉の意味を調べて頑張りたい」と意気込んでいた。
 本番まで約4カ月、腹式呼吸や早口言葉で発声の基礎を学びながら、民話に登場する相浦港や里美町などを実際に巡り、それぞれの物語を完成させる。

大野・皆瀬地区に伝わる民話「じんねみどん」朗読を練習する児童=佐世保市立図書館

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