児童虐待を考える 湯河原の養護施設長が講演

 若い世代の転入が増えている開成町で30日、安全安心な地域社会を目指そうと「青少年問題を考える集会」が開かれ、地域全体で取り組むべき問題として「児童虐待」についての講演が行われた。

 講師は、横浜市で自立援助ホームを23年間運営し、2014年からは湯河原町の児童養護施設「城山学園」施設長を務める遠藤浩さん(71)。自身が関わった養育放棄の事例から「虐待を受けるとはどういうことか」を説明した。

 虐待という言葉の印象が強すぎ、命を奪うほどの暴力でないと虐待とは捉えない向きもあるが、不適切な対応は全て子どもの発達する権利を阻害する意味で虐待である-と強調。その時に大事に至らずとも、親との愛着関係がつくれなかった子どもは自身を律することができず生涯にわたって苦しむなどとも語った。

 また遠藤さんは、虐待の存在がなかなか認知されなかったこと、虐待防止のオレンジリボン運動は広まったが虐待死そのものは減っていないことなどを紹介。虐待の4分類として身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト(育児放棄)を挙げ、「心理的虐待にはドメスティックバイオレンス(DV)を目撃することも含まれる」「育児知識の不足からミルクの量が不適切なこともネグレクトに当たる」と話した。

 集会は、開成町社会を明るくする運動推進委員会などが毎年7月に開催。会場の町民センター(同町延沢)3階大会議室には約50人が集まり、講演に耳を傾けた。

遠藤さんによる講演の後には参加者との質疑応答も行われた=開成町民センター、2018年7月30日撮影

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