五輪の畜産物、「調達基準甘い」メダリストら訴え

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東京オリンピック・パラリンピックの選手村と会場で出される畜産物の基準について「甘い」と指摘する声が高まっている。動物愛護活動を行う約50の団体が、基準の改定を求めるキャンペーンを展開していたが、1日、過去の五輪メダリストらも加勢した。東京オリ・パラの調達コードでは、世界で相次いで廃止が決まっている「バタリーケージ飼育」や「妊娠ストール飼育」について言及していない。(オルタナS編集長=池田 真隆)

オリンピアンは嘆願サイト「レガシー・フォー・アニマルズ」を設立

8月1日、2012年ロンドン五輪の自転車競技の銀メダリスト・ドッチィ・バウシュさんら9人のオリンピアンが小池百合子・東京都知事と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会への嘆願書を出すと発表した。

嘆願書では、東京オリ・パラで使用する豚肉と鶏卵について、豚肉は100%ストールフリー(妊娠豚の拘束飼育をしないこと)で、鶏卵は100%ケージフリー(平飼い、放し飼い)で調達するように求めている。

 ストール飼育とは、家畜の動きの自由を奪う拘束飼育のことだ。拘束されている豚は本能を奪われ、身動きが取れない劣悪な環境で過ごすことになる。ケージに閉じ込められた鶏も同様に、ストレスを感じながら飼育される。

 認定NPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事は、「劣悪な環境で育てられた動物は病弱になり、抗生物質やワクチンなどを多量に投与される。それらの畜産動物を摂取することで、抗生物質などが効かない薬剤耐性菌に感染してしまう危険性がある」と指摘する。

 こうしたなかで、動物を適正に取り扱うことを科学的に定めたアニマルウェルフェアの概念が注目されている。1965年に英国で提唱された考え方で、「飢餓と飢え」「外傷や疾病」「肉体的苦痛と不快」「恐怖、不安、抑圧」「正常行動」への5つの自由を基本原則とした。

 ドッチィさんは、過去の五輪で採用したアニマルウェルフェアの基準と比べて、東京オリ・パラが劣っていることを指摘し、「アスリート人生の最高の舞台であるオリンピック・パラリンピックには、世界からトップクラスの選手が集まる。高品質の栄養素が求められるのは当然だ」と強調した。

 東京オリ・パラで取り扱う畜産物の調達コードには、「JGAP」や「Global GAP」、「GAPチャレンジシステム」などを規定し、この中にアニマルウェルフェアの概念も含まれてはいる。しかし、ここで求められているアニマルウェルフェアでは、世界で相次いで廃止が決まっている「バタリーケージ飼育」や「妊娠ストール飼育」については言及されていない。

 2012年のロンドン大会では放牧の卵が使われ、2016年のリオ大会ではケージフリー卵が使われた。そのため、今回の東京オリ・パラではレベルダウンとみられるのは必至となるだろう。

 ドッチィさんは、「世界が受け入れるクオリティに達することができないなら、東京が遅れをとっていると見られる」と指摘した。