被爆者らの思い筆に込め 原爆死没者名簿を筆耕・森田孝子さん 平和願いあすから個展

 9日の長崎原爆の日の平和祈念式典で奉安される原爆死没者名簿の「筆耕」を務める長崎市の書道講師、森田孝子さん(70)の個展「平和への願いを書に託して」が3日、茂里町の長崎ブリックホール2階ギャラリーで始まる。被爆者や被爆2世、小中高校生のメッセージを書にした24点が並ぶ。
 森田さんは被爆2世で2002年から死没者名簿の記入に携わっている。個展は6回目。今回は「幅広い世代の思いを、平和という1本の糸でつなぐこと」をテーマにした。
 森田さんの叔母から寄せられた言葉は「冷たくなって隣りで 横たわる友人の
 久留米絣(がすり)のモンペが目に焼きついて離れない」。
 「悲惨さや思いの強さが伝わるよう、太めに書いた」と話す森田さんは「被爆者の言葉にはリアリティーがある。夜中に書くのが怖いこともあった」と振り返る。
 教室で教える若い世代の怒りも力強く表現した。「人々の尊い命を奪った原爆 私はこれを許さない」(高校1年の女子)。「一人一人の小さな意識でいつか平和な世界になる」という中学2年の女子の決意は、未来への希望を抱かせる。森田さんは「同世代の子が平和についてどのように考えているか見てほしい」と来場を呼び掛けた。
 個展は3~5日午前10時~午後6時(5日のみ午後5時まで)。

展示する作品の写真を眺める森田さん=長崎新聞社

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