陶芸家の瀬戸さん、国宝を再現 横浜高島屋で7日まで個展

 約800年前の中国・宋から伝わった曜変天目茶わんの再現に取り組む中井町在住の陶芸家、瀬戸毅己(たけみ)さん(59)の個展が1日、横浜駅西口の横浜高島屋美術画廊で始まった。7日まで。入場無料。

 曜変天目茶わんやぐい飲みなど、約30点の新作が並ぶ。曜変天目茶わんは、内側に星のような斑紋が散らばり、漆黒や濃い瑠璃色の地に光によって虹色の光彩が浮かび上がるもの。日本に現存する3点全てが国宝に指定されている。

 製法が残っておらず、土の成分や上薬の調合、窯の温度などさまざまな要因によって出来上がるもので、再現不可能とされてきた。

 瀬戸さんは1990年ごろ、中国陶磁の古くからの製法を伝える「中国陶磁史」という本に出合った。載っていた通りにやってみたところ、細い縦状の筋がつく禾目(のぎめ)天目茶わんの再現に成功。これをきっかけに研究を続けてきた。

 制作は全て一人でこなしており、思うようにいかないことも多い。「10点焼いて1点できればラッキー。非常に特殊な環境をどうやって作るかが難しい。昔の人と話をしているような感じ」と瀬戸さん。

 「毎回が挑戦」という中から生まれた貴重な作品を間近で堪能できる。

 問い合わせは、横浜高島屋電話045(311)5111。

曜変天目茶わんを見せる瀬戸毅己さん=横浜高島屋

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