湖の遺体、殺人罪で男起訴 横浜地検、遺棄は不起訴に

 知人女性の首を絞めて宮ケ瀬湖(神奈川県清川村)の橋上から落として殺害したとして、横浜地検は1日、殺人の罪で、会社員の男(62)=横浜市磯子区=を起訴した。処分保留にしていた死体遺棄容疑については不起訴処分とした。湖に投げ落とした時点で女性が生存していた可能性を排除できず、適用を見送ったとみられる。

 起訴状によると、被告は2月1日、三浦市の路上に止めた軽乗用車内で、横須賀市の無職の女性=当時(50)=の首をネクタイ様のもので絞めた後、右足にコンクリートブロックをくくりつけて宮ケ瀬湖上の橋から落として殺害した、とされる。地検は被告の認否を明らかにしていない。

 捜査関係者によると、女性の首には圧迫痕が残っていたが、直接の死因は湖水を飲み込んだことによる溺死と推定された。コンクリートブロックは、宮ケ瀬湖への移動中に立ち寄ったホームセンターで被告が購入したとみられる。

 首を絞められた後の庵谷さんが昏睡(こんすい)や仮死状態だった可能性も残り、地検は絞殺後の遺体を湖へ遺棄したとの見方が確実に立証しきれないと判断。首を絞めてから湖に落下させるまでの一連の行為を一つの殺害行為と捉えて起訴した。

 被告は2月に死体遺棄容疑で逮捕されたが、県警の捜索で湖から遺体が見つからず、処分保留で一度は釈放された。県警は釈放後に捜査本部を設置。湖の水位が下がった6月に再び水中を捜索して遺体を発見し、7月に殺人容疑で被告を逮捕した。

宮ケ瀬湖に架かる橋から水中探査機を投入して湖底を捜索する県警捜査員ら=2月、清川村

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