四季を感じる13曲収録  スガダイローがアルバムリリース 鎌倉育ちのジャズピアニスト

 鎌倉育ちのジャズピアニスト・スガダイロー(44)が、暦をテーマに作曲したソロピアノアルバム「季節はただ流れて行く」をリリースした。

 「あと50回、夏を過ごせないと思うと、毎年、当たり前のように過ごす梅雨も貴重なものに感じる」とスガ。四季の移り変わりにインスピレーションを受け、毎月1曲ずつ1年をかけて作曲した12曲と、「海は見ていた With the sea」の計13曲を収録した。

 小学4年生からピアノを習い、バッハが好きな少年だった。転機が訪れたのは、中学生の時。「帰り道、大仏(鎌倉の高徳院)から山下洋輔さんのライブが聞こえてきて、衝撃を受けたんです」

 聞き慣れたクラシック音楽とは明らかに違う、ピアノの鍵盤をたたきまくるフリージャズの激しい響き。「誰でも弾けそうなほどめちゃくちゃで、聞いた時は頭にきた」と打ち明ける。嫌いな理由を突き詰めようと聴き続けるうち「好きだから気になるんだ」とある日、気が付いた。

 ジャズを学ぼうと、山下が教える洗足学園音大のジャズコースに入学。卒業後は米バークリー音楽大にも留学した。「米国では本場のプレーヤーに圧倒されて萎縮したけれど、日本人のアイデンティティーを深く考えるきっかけになった」と振り返る。

 帰国後は、ライブハウスなどでセッションを重ね、“超絶技巧”のピアニストと注目された。作曲家としても活躍し、白井晃演出の舞台「ペール・ギュント」「マハゴニー市の興亡」で音楽監督を担当するなど、ジャズを生かした演奏スタイルが人気だ。

 今作は、楽譜もリリース。「自分の演奏技術を解体してみて、意識してテクニックを盛り込みました」。7月に書いた「神無月 October」は、左手は7拍子、右手は3拍子で弾く。ほかにも弱音で弾き続ける曲や、同じ音の連打など、さまざまな技法が学べる。

 「音大生でなくても弾ける作品もあるので、四季を感じる練習曲としても、親しんでもらいたいです」

◇9月29日、「横浜市旭区民文化センター サンハートホール」で公演予定。午後4時開演。チケット2500円など。問い合わせは、サンハート電話045(364)3810。

スガダイロー

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