1999年に行楽客が川に流され、死亡する水難事故があった神奈川県山北町の玄倉川で1日、県企業庁酒匂川水系ダム管理事務所(同町神尾田)と関係機関による合同パトロールがあった。
同事務所によると、今年1月に発生した斜面崩落で県営林道玄倉線の一部約1・5キロ区間が通行止めになっていることから、上流にある発電用の玄倉、熊木の両ダムは現在運用を停止。例年と違いゲートが全開となっており、放流のサイレンも鳴らないという。上流での降雨が直接増水につながる危険性があることから、関係機関は天候の変化などに注意するよう促している。
パトロールは、同事務所のほか、町や小田原市消防本部、松田署などから10人以上が参加。玄倉第1発電所上流の立間(たつま)堰(えん)堤から、通行止めで閉鎖している石崩トンネルまでのキャンプスポットなどを巡視した。
19年前に水難事故が発生した立間堰堤付近では、同事務所の職員が川遊びをしていた家族連れにチラシを使って説明。急な増水の危険性を呼び掛けた。
平塚市から訪れていた男性会社員(47)は「事故は知っているので、子どもたちには雨が降ればすぐ避難するよう伝えている」と神妙な表情で話した。
玄倉川では99年8月14日、大雨やダムの放流による増水で中州に取り残されたキャンプ中の行楽客18人が救助活動中に流され、13人が死亡する水難事故が起きている。