プレマ・セオドール・レーシング 2018ヨーロピアンF3第5大会スパ・フランコルシャン レースレポート

表彰台独占! ミック・シューマッハー、父の思い出の地、スパで悲願の初優勝!!

7月26日~28日
ベルギー/スパ・フランコルシャン

予選(7月26日/木曜日)

 前戦のザントフールトでのポディウム独占もつかの間。ベルギーの伝統のサーキット、スパ・フランコルシャンにやってきたFIA-F3。プレマ・セオドール・レーシングは週末に行われる3レースのうち、2レースでポールを獲得し最高のスタートを切ることとなります。

 レース1の予選はチームが期待した結果ではありませんでした。#8 マーカス・アームストロングがあと一歩のところでポールポジションを逃し、チーム最上位、2番手からのスタート。

 レース2の予選で一番時計を叩き出したのは、世界中のすべてのファンが期待しているこのヤングドライバー、#4 ミック・シューマッハー。ついにF3キャリア初、念願のポールポジションを獲得しました。
 
 彼にとってこの日は忘れられない一日となったに違いありません。またシューマッハーの後ろにはチームメイトが続き、レース2のトップ4グリッドを独占。#7 ラルフ・アーロンが2番手、#1 ジョウ・グァンユー(周冠宇)とアームストロングがその後ろに続きます。

 レース3の予選では、チームのFDA(フェラーリ・ドライバー・アカデミー)ドライバーたちが3番グリッドまでを占有してみせます。フロントローにはグァンユーとアームストロング。3番手グリッドからルーキーの#10 ロバート・シュワルツマンが臨みます。その差が100分の1秒の差。雨に翻弄された予選でしたがチームは着実な結果を残し、レース本番で勝利を勝ち取りに行きます。

レース1(7月27日/金曜日)

 プレマ・セオドール・レーシングにとって悪夢のような一日になりました。
最高の予選となった前日と打って変わって“接触”がチームの勝利を遠ざけたレース展開となりました。

 レース1の荒れた状況のなか、エストニア出身のドライバー アーロンが3位表彰台を獲得。チャンピオンシップにつながる価値のあるポイントをもぎ取ってきました。
 
 レース1の予選を失敗したシューマッハーは16番手スタートから4位までポジションアップ。評価に値するレースを展開してみせました。

 しかし、残念ながらグァンユーはレース1・2ともに、アームストロングもレース1をリタイアという結果になりました。

ミック・シューマッハー(プレマ・セオドール・レーシング)

レース2

 レース1でポディウムを決めたアーロン。引き続きレース2でも勝利を狙います。
トップ争いを展開していたアーロンでしたが、レース半ばの接触によりスピン。惜しくもそのままリタイアとなります。

 チーム最上位の4位を持ち帰ったのはロシア出身のシュワルツマン。その後ろにはアームストロングが続き6番手でフィニッシュ。スタート直後1周目のチームメイトとの混戦によるポジションダウンを見事リカバーしての結果です。
 
 シューマッハーはポールポジションからのスタートでしたが、グァンユーとの接触によりタイヤをパンクさせそのままリタイアとなりました。

レース3(7月28日/土曜日)

 ベルギー/スパ・フランコルシャンでの最終レース。プレマ・セオドール・レーシングはまたも歴史に名を刻む一戦を繰り広げ、シューマッハーにとっては何にも代えがたい瞬間となったことでしょう。
 
 6番グリッドからスタートしたシューマッハーはF3の強敵たちを見事オーバーテイク。文句無しの速さを見せつけF3キャリア初の優勝を飾りました。彼は今回の一戦で初ポールと初優勝を同時に経験することになりました。
 
 また17歳のルーキードライバー、アームストロングも今回3位の表彰台を獲得。チャンピオンシップ争いにふたたび名乗りを上げました。同じくルーキーのシュワルツマンも負けていません。2位フィニッシュで見事にポディウムに登りました。
 
 9番手スタートだったアーロンはもがきながらの14位完走。またポールスタートだったグァンユーは接触によりポジションを下げ、そのまま13番手でレースを終了しました。

#1 ジョウ・グァンユーのコメント

「良い予選日になりました。Q1は難しかったのですが、なんとか4番グリッドを獲得。これで十分です。Q2は当初天気が読めず、タイヤ選択も困難を極めました。そのなかで3番グリッドからのスタートを決めることができました」

「また自分でも驚きましたが、レース3はザントフールトに続き、二度目のポールを決めることができました。スリップストリームなしでここまでのタイムが出るとは思いもしませんでした」

「レース1・2ともにモノにできませんでした。両方のレースともに接触により、戦いの場から離れざるを得ませんでした。でもこれがレースだと思っていますしこれ以上悪くなることはない。そう考え、ポールをとったレース3に頭を切り替えていました」

「しかしいい週末とはなりませんでした。またもや接触により、後退。結局13番手でフィニッシュしました。次のシルバーストンを楽しみにしています」

#4 ミック・シューマッハーのコメント

「F3初のポールポジションを決めました! 本当に嬉しいです! トラフィックとスリップストリームのコントロールが重要になるこのサーキットでこの結果。僕たちのポテンシャルを証明したと思います」

「レース1は期待していた結果とは違い17番手でしたが、レース2のポールスタートは喜びを噛みしめる結果となりました。期待に胸を膨らませていたレース2ですが、結果的には“落胆”以外の感情はありません。初ポールからのスタート、チームメイトとの接触でタイヤがパンクしてしまったのです。レース1の追い上げは満足いくものでしたが、レース2は本当に残念でした」

「レース2の鬱憤を晴らす結果になり、最高の気分です。レース3で初優勝を勝ち取りました。このスパ・フランコルシャンというサーキットは、シューマッハー家にとても相性の良いサーキットのようですね」

「朝起きて雨模様を目の当たりにして、少し気分が高揚しました。こういうコンディションが好きなんです。チームメイトのふたりをオーバーテイクして、登った1位のポディウムは本当にうれしいです」

#7 ラルフ・アーロンのコメント

「予選1は悪くなかったと思います。スリップストリームが重要なこのトラックで、最後に前の車がグラベルの方にいってしまって、スリップが使えなくなってしまいました。それでも5番手グリッドにつけたことは幸運でした」

「また予選2では文句なしに速く走れましたが、アタック中に1台だけ他のマシンに出くわす場面があり、ほんの少しタイムをロス。仕方ないことですが、フロントローを失い2番手スタートとなりました。とはいえスリップなしでこのタイムを出せたことは自信につながったように思います」

「レース1は目まぐるしい展開になりました。接触やセーフティーなどイレギュラーな展開になることを想定し、少し心の準備をしていました。読み通りになったレースでそのリスタート後には3位までポジションを上げることができました」

「1位~2位を狙おうと思いましたが、ギャップが多くスリップはまったく使えない状況でした。ずっと#65 エナム・アーメド(ハイテック)と戦っていましたが、彼に勝てたことは自信になります。素直に嬉しいですね。レース2は接触によりパンク、そのままリタイアとなりました」

「レース3を含め、やはり週末を通してすべてがタフでした。レース1は表彰台を獲得できましたが、それ以外は特にいいところもなかったように思います。シルバーストンでは100%の力でぶつかっていく覚悟です」

#8 マーカス・アームストロングのコメント

「もっと上に行けると思ったのですが、結局3レースはそれぞれ2番・4番・2番グリッドからのスタートとなりました。少し残念です。マシンの感触はとても良かったですから。でも不満はありませんでした。レースに向けて頑張ろうと考えていました」

「レース1はなかなか難しい展開でした。接触によりリタイアとなりました。レース2もポジションダウンしてしまいましたが、粘りの走りで追い上げました。悪くない結果です」

「レース3も難しかったです。路面状況も良くなかったですし、想像以上にロバートが良い走りをしていました。路面が乾いてきたと同時にロバートが仕掛けてきましたが、その直後ミックにも立て続けオーバーテイクされてしまいました。
次のレースはもっと、強くなって戻ってきます」

#10 ロバート・シュワルツマンのコメント

「悪くありませんでした。スリップとトラフィックのコントロールができないなかでのアタックでした。予選1は単独での状況でラップを刻んでいました。また予選2ではトラフィックに引っかかりました。ですが最後にレース3での3番グリッドは良い結果と言えます」

「レース1・2ともにタフなシチュエーションでした。いたるところでバトルが発生しており、そのなかで順位を上げる必要がありましたから。どちらもスターティンググリッドよりポジションアップできて大健闘できたと思います」

「レース3ではチームメイトのマーカスと本当に良い戦いができました。最終局面でマーカスを抜いてトップに立ちましたが、スリップが使えなくなったその時にミックがやってきました。優勝を逃しましたが、2位は悪くない結果です」

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